十分に実って乾燥した穂は、表面にびっしりと並んだ種子に付随した綿毛から、穂を開こうとする強い圧力を受けています。そのような状態の時に、表面かに触れたり、何らかの原因で圧力のバランスが崩れると、一気に吹き出すように種子があふれ出てきます。これが「爆発」現象のメカニズムです。
動きを伴う大変面白い現象ですので、観察会などにガマの穂を持ち込むと、子どもたちが大喜びで爆発を楽しみます。自然の不思議をじかに体験する良い機会になります。それで今年も穂を数本確保しておいたのですが、ベランダに出しておくうちに乾燥しすぎたようです。そのうちの1本がほぼ爆発、もう1本が部分爆発してしまいました。爆発物を処理するついでに観察します。
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風を受けると穂がほぐれていき...
さらにほぐれて...
ちぎれて...
飛んでいきました。
これは部分爆発した穂。一カ所からこぼれるように綿毛のついた種子が吹き出ています。
拡大します。種子は外側に、内側には種子を飛ばすための綿毛がびっしり並んでいます。この綿毛の圧力で爆発が起きるようです。
タンポポなどと異なり、綿毛は軸の途中からも出ています。
目盛は0.5ミリスケールです。綿毛は6~7ミリ、種子の長さは約1ミリ。極小の種子です。指で挟んでもほとんどその存在がわからないくらいの軽く、小さいです。
NHK for Schoolという番組に「種がぎっしり ガマの穂」というものがありましたのでリンクしておきます。ガマはまさに質より量の種子散布の方法を選んだ植物です。
ガマは古来から水辺に、人の生活に近いところに生えていますので、ガマを巡るいろいろは物語や逸話もあります。それらについてはまたいずれ。
2019.12.22.撮影
2019.12.22.記述