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2019年11月23日土曜日

小さい秋みつけた

紅葉が進み、この週末京都地方の紅葉の名所は大変な混雑が予想されています。嵐山は渡月橋の横断すら困難になるでしょう。日頃散策がてらゆっくりと観察を楽しんでいる身には、大変不自由な季節です。出口のない嵐山地区に観光バスで早朝から大勢の観光客を押し込むことは、考え直すべき時期でしょう。

紅葉の名所を外れたところにも「穴場」的に紅葉の美しい場所がありますが、案外自宅の小さな庭や、近所の並木に美しい秋の姿を認めることもあるのではないでしょうか。昨年の今日の写真から桂川の上野橋下流の4号井堰付近の小さな秋を撮影した写真から拾ってみました。

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クコの実です。クコはナス科の植物で、昔から果実、根皮、葉すべて生薬として用いられ、薬膳にも欠かせない植物です。近年河川敷に群落を作り増加傾向にあります。秋のみのりが美しい。



アメリカフウロです。帰化植物で、昭和初期に日本で初めて発見されたのが京都だったということです。

これはエノコログサの根元。

 小さなギシギシも紅葉しています。

ノゲイトウの葉。

これはサクラタデの葉。タデの類もよく紅葉し、草原を赤く染めます。

エノコログサの葉の紅葉です。穂も赤紫に染まることがあります。

アカザの紅葉。これは赤が濃くてきれいです。

再びエノコログサ。都市部の街路樹の根元にもよく生えて紅葉します。

オオニシキソウ。

キンエノコロです。

4号井堰は今はもうありません。治水対策ということで昨年末からの工事で撤去されました。堰があった頃は水位が安定して広い水面が確保でき、一頃はコハクチョウも羽を休めることがあったのですが、今は見る影もありません。洪水対策ということで、付近では現在も河原を平均2 mほど掘削する工事が全面的に行われています。2017年に湿地植物の調査が行われましたが、昨年に堰を撤去し、河原の植物を一掃し、一昨年まで見られたワンドや湿原植物などもすべて消滅してしまいました。失ったものは多いのですが、ほとんど人の心に残りません。その代わりに何を得たのでしょうか。

2018.11.22.撮影
2019.11.22.記述




2019年11月20日水曜日

クヌギゾウムシの季節

拾って来たアベマキとクヌギの実から、イモムシが沢山出てきました。入れてあったスーパー袋を破ってリビングの床に這い回り、ちょっと大変。これまではつまんで外にぽいと捨てていましたが、じっくり観察を試みました。

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ずんぐりむっくりで可愛らしい幼虫です。クヌギの実から出てきました。体長約1 cm。クヌギシギゾウムシというらしいです。

右へ左へと転びながら歩く姿はとても可愛い。

口元をよく見ると、短いですが足が生えています。

拡大します。口はさすがにしっかりしていて、皮膚を噛まれると少し痛い。この口でクヌギの実をかじり、固い皮に穴を開けます。

これが幼虫の出たクヌギの実。通常実一つに1つの穴が空いていますが、時には2つ。まれに3つのものも。

実を割るとこの通り。わずかに残された実の他には、びっしりと糞(おそらく)がつまり、幼虫のいた部分だけが凹みになっています。

平面ではえっちらおっちらと進む幼虫ですが、いったん地面に落ちると、すぐに土に潜り込みます。土の硬さにもよりますが、おおよそ3分以内に姿を隠します。地面の上は天敵だらけ。通常は実のすぐ近くの土の中に隠れるのでしょう。ここで蛹になり、翌年の初夏に成虫になるということです。

クヌギの約7割から、この日だけでこれだけの幼虫が出てきました。約40匹。すべて地面に戻してやりました。
2019.11.15.撮影
2019.11.19.記述








2019年11月15日金曜日

観察記録:小さな庭で:時雨の後に

寒冷前線の通過で早朝は雨でしたが、9時頃から晴れ間が覗き、一気に気温が上がりました。自宅の小さな庭では、雨後しばらくはなりを潜めていた蝶たちが、太陽の光で体が温まると、数は少ないですが次々と姿を見せてくれました。

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ヒメウラナミジャノメです。もうすっかり姿を見せなくなっていました。

 キタキチョウです。これは成虫で越冬します。

ムラサキシジミのようです。羽の表がきれいです。

ナナホシテントウです。日だまりで体を温めていました。

カリンの木をバッサバッサと剪定した後に、切り取った木枝にこんなものが!ジャコウアゲハの蛹です。ウマノスズクサとの距離は約6 m。芝生の歩きにくい中を、よくここまで。急いでゴミ袋に入れたすべての枝を点検し直しました。

番町皿屋敷の怪談をもとに、「お菊虫」とも呼ばれていますが、どうやったらそのように見えるのか...後ろ手に縛られ、うなだれたお菊さんのようなと言われますが...???

葉を落とした枝を、キンカンの木の根元に上下しっかりと固定しておきました。これで、冬の雪や泥から守られます。

ヘクソカズラもツヤツヤと色づいて結構きれいです。

これは、ホソバツルノゲイトウ。100年あまり前に日本に入ってきた外来種です。花の部分を拡大すると、なるほどケイトウの仲間です。

コミカンソウもいよいよ美しく色づいています。
2019.11.14.撮影
2019.11.14.記述





2019年11月12日火曜日

観察記:DNA分析に思う:サルノコシカケの仲間

近年の植物分類学は、従来の形態的な特徴に基づく分類から、DNAの解析に基づく分類「分子系統学」に移ってきています。そのため、形態的に似ていても、分類学的には異なるということで、新分類体系が生まれています。これが、APG分類と言われるもので、APGとは、Angiosperm Phylogeny Group(被子植物系統グループ)という、この方法をとる植物学者の団体名から来ています。

APG分類は1998年に発表されました。また、それ以前のクロンキスト体系は1980年代に提唱され、さらにそれ以前の分類は形態的な特徴を重んじた新エングラー体系、さらにさかのぼるとエングラー体系、と呼ばる分類体系がありました。

図鑑で調べる場合には、1998年以前に出版されている植物図鑑などはAPG分類に基づいていないので、それを知った上で分類名を読まねばなりません。このブログで何度か言及したガガイモは、クロンキスト体系では、ガガイモ科に属していましたが、APG体系ではキョウチクトウ科に移されました。もっとも図鑑によっては、1998年以降の出版でも、編集作業の都合で、APG体系に基づいていない場合もありますので、古書で図鑑を購入する際には、その図鑑がどの体系に基づいているのか確認する必要があります。

それにしても、人間の知識と直感に基づいて、これは〇〇である、と言えないのはさみしい気がします。また、植物を分類するのに、植物の姿形や生育環境も調べることなく、植物体から採取した一片のDNAを分析して、その植物を知ったつもりになることの危険も感じざるを得ません。

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さて、昨日書いた御苑のきのこですが、帰り際にサルノコシカケの仲間を見つけました。これは従来ならば、コフキサルノコシカケと呼ばれていたものですが、上記のAPG分類と顕微鏡による胞子の大きさの研究で、現在では北方系のコフキサルノコシカケに対して、オオミノコフキタケと呼ぶのが正しいようです。

底は管孔という微細な孔が空いていて、そこから季節になると胞子を放出します。

一年に一襞成長するらしいので、このきのこは、数えると約30年以上ここで成長しているようです。

拡大すると、無骨ながらも、どっしりと生きてきた年輪が刻まれているのが分かります。
2019.11.10.撮影
2019.11.11.記述



2019年11月11日月曜日

観察記録:京都御苑:きのこの季節に

京都御苑に立ち寄り、きのこを探してみました。お目当ては松笠に生えるきのこ。マツカサキノコモドキです。松ぼっくりが湿り気のある地面に埋もれているあたりを探すと、あちこちにありました。不思議で可愛いきのこです。

松かさは繊維質や樹脂成分が多くて、乾燥した場所ではなかなか分解されないのですが、湿度が十分にある場所では、このような菌類によって、静かに確実に分解され、土に帰っていきます。

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マツカサキノコモドキです。大きな松かさの湿った下部から生えています。

こちらは3本立て。

傘の裏側はきれいな襞になっています。

下部の菌糸がしっかりと柄と傘を支えています。

 子供を従えたようなものもあります。

 鏡に映して緑を後ボケに入れてみました。ちょっとメルヘンチックな雰囲気が出たようです。

今年は全国的にきのこの発生が非常に多いようです。度重なる台風や大雨の影響かも知れません。

2019.11.10.撮影
2019.11.10.記述



2019年11月8日金曜日

観察記録:小さな庭で:秋の終わりの昆虫たち

高気圧の張り出しで秋晴れの良い天気が続いています。日中は気温が上がるので、花を訪れる昆虫たちが増えてきます。

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ベニシジミです。ランタナの花に吸蜜しています。幼虫で越冬し、春一番に姿を現すチョウです。

クマバチもまだ生き残っています。千日紅がお気に入りのようです。

これはキンケハラナガツチバチのメスのようです。通常は幼虫で越冬するのですが、成虫での越冬もあるようです。

こちらはコウカアブでしょうか。見た目もあまり良くないので、嫌われ者ですが、生きものが少なくなるこの時期には、生きているだけで貴重に思えます。

ナミハナアブのようですが、逆光でよく分かりません。

ベニシジミは春先や秋の終わりなど寒い時期に見ると、なんとなくほっこりと暖まります。

レモンの葉にはナミアゲハの幼虫がしがみついています。春先から沢山の卵が産み落とされましたが、寄生蜂やアシナガバチにやられて、蛹になったものはほとんど皆無です。この時期からは寄生蜂などの害はありません。この幼虫は寒さに耐えて蛹になれるでしょうか。
 

あじさいの葉陰にはオオカマキリが。もうほとんど動けません。

草むらのオンブバッタは結構早足で逃げて行きました。

床下の壁にジャコウアゲハが蛹化しています。胸を支える糸が外れているようです。おしりの支えも外れそうです。これはレスキューしないといけません。

こちらは鉄枠にしっかりと固定された蛹。これは大丈夫。

ナナホシテントウは草の葉を盛んに動き回り、餌を探しているようです。成虫が集まって越冬します。

確実に訪れる冬を前に、短い命を燃やすもの、命をつなごうとするもの、様々な生きものの姿が、小さな庭の中にありました。

ベニシジミからベニシジミまで2019.11.05.撮影
ナミアゲハからナナホシテントウまで2019.11.04.撮影
2019.11.05.記述







池端で

買い物の帰りに遠回りをして池端の野鳥を見てきました。折からの寒波でこの冬一番の冷え込み。横殴りの風が吹く中の観察です。人の出がないので、日頃は隠れていがちな野鳥の姿を認めることができました。 ヒクイナです。 タシギです。 クイナです。 晴れ間に突然カワウの一群が飛び立ったと思った...