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2020年7月28日火曜日

ミノムシの成長

Thriving bagworms

日本人はミノムシが好きだ、というのは私の思い込みでしょうか。しかし、昭和の時代に生まれた日本人で極端な虫嫌いでなければ、ミノムシで遊んだ記憶が、おそらくあると思います。相手は大きなオオミノガのミノムシ。柿の木などに付いているものを取ってきて、蓑をはがして丸裸にし、新聞紙や毛糸などの切りくずの中に入れて、新しい蓑を作るのを観察したのではないでしょうか。

そのオオミノガも、1990年代には外来の寄生バエの犠牲になって、ずいぶん数を減らしました。環境省のレッドデータでは、宮崎県や徳島県では絶滅危惧I類になっています。個人的な観察でも数年前までは、京都市内でもほとんど見かけることはなかったように思います。そのオオミノガを近所のアカメガシワの木に今冬見つけて、継続観察しています。

6月末に孵化した幼虫は、現在蓑の長さ約3cmにまで成長しました。第三齢幼虫あたりかと思います。数は当初の数百匹から、60匹ほどに減りましたが、元気に動き回っています。木の伐採や、寄生バエの事を考えると、一部を他の場所に移動させるのが良いかも知れません。リスクの分散です。

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いかにもオオミノガらしく、小枝で蓑をびっしりと覆った個体です。

こちらはニトベミノガの幼虫のように、大きな葉をまとったもの。しかし、脱皮殻をつけていないので、やはりオオミノガの幼虫です。

蓑の形は、当然のことですが、1つとして同じものがありません。


これがmother treeのアカメガシワ。雌木です。ミノムシに葉を与えても、実りは豊かです。


再びミノムシの観察です。

顔を出して、移動中のものがいました。黒々として、元気そうです。

こちらも葉裏で移動中。

こちらは葉の主脈を残してお食事中。蓑の口が大きく開くのに驚きます。

この個体もそうです。

梅雨の長雨が終わった頃に他の木に一部を移してみようと思います。

2020.07.23.撮影
2020.07.27.記述


2020年7月23日木曜日

マツグミの花

Flowering of a parasitic plant on a pine tree

マツグミが花を付けました。奇妙な植物です。松の木に寄生する半寄生植物、ヤドリギの一種です。宿主のアカマツが松枯れのために数を減らしているので、マツグミも稀少植物の仲間入りをして、『京都府レッドデータブック2015』では、準絶滅危惧種の扱いです。

最初に見たのは冬で、緑の枝に一見イチジクのような実がなっていました。赤色の花が7,8月頃に咲くと聞きましたので、ぜひ見て見たい、ぼちぼち時期だろうと出かけたところ、ちょうど良い具合に咲いていました。

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少し引いた位置から、マツグミの全体像です。

このように赤い花が咲いています。

よく見ると、花は根元の緑色の部分が丸く膨れて、これが子房のようです。赤い部分はそれに続く部分。先端部分は細く、色は再び緑色になっています。

その細い先端部分が花びらでしょうか。開いてしべとおぼしきものが顔を出します。

拡大すると、その様子がわかります。中央にめしべの柱頭が飛び出て、その周囲を雄しべが囲んでいるようです。

異なったアングルから何枚か撮っておきました。




時々メジロが来ていました。ハチの姿は見えませんでしたので、メジロなどの野鳥によって花粉が媒介されるのかもしれません。アリによる媒介も可能性としては大いにあります。もう少し近づきたいのですが、地上4メートルほどの高い位置にありますので、残念です。他に個体がないかどうか、次回訪れた際に調べてみたいと思います。

なお、国内で見ることのできるヤドリギの類にはこのマツグミTaxillus keampferiの他に、ヤドリギViscum album subsp. coloratum、ヒノキバヤドリギKorthalsella japonica、オオバヤドリギScurula yadoriki、ホザキノヤドリギHyphear tanakaeがあります。マツグミとヤドリギ以外には見たことがないので、今後の課題とします。

2020.07.20.撮影
2020.07.22.記述



2020年7月18日土曜日

ウマノスズクサ

ウマノスズクサは、『京都府レッドデータブック2015』では準絶滅危惧種に指定されています。ジャコウアゲハの実質唯一の食草であることから指定されたようですが、実際生育している場所は限られており、渡月橋から三川合流までの河川敷では2,3キロに1箇所程度と思います。そのウマノスズクサを増やせないかと、移植を試みました。

ウマノスズクサは3年ほど前に知人に一株譲ってもらって、庭に植えてあります。これが、仕組みはわかりませんが、毎年少し離れた場所にひこばえを数株芽生えさせます。それをポットに移植して養生してありましたので、7月初めに家から見える堤防の草むらに移植しました。全部で8株移植したのですが、小さくてひ弱な株ですので、2株はどうも消えてしまったようです。しかし、残りの6株は長雨と草刈りの後も葉を茂らせています。

他で繁茂しているところを見ると、ウマノスズクサは、他の雑草と混在できる場所で、水はけと日当たりの良い場所を好むようです。今回植え付けた場所は斜面の途中と下方の2箇所ですので、条件が異なる場所での生育状況を観察していきたいと思います。

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斜面の上部中央に植えた株です。

上部西側。

上部東側。蔓が長く伸びています。

斜面中央下部手前。葉が若干黄色くなっているのが気になります。

斜面中央下部奥。これがもっともしっかりした株の1つ。

これは少し離れた場所に植えたもの。斜面西側下部。これもしっかりしています。

ウマノスズクサを観察しはじめた当初は、草刈りは入れない方が良いと思っていましたが、河川敷に草刈りが入ってまず最初に生えてくるのがウマノスズクサです。適切な時期の草刈りはむしろウマノスズクサに益するようです。ウマノスズクサはつる性の植物ですので、他の植物に巻き付いて伸びますから、支えになる他の植物は必ず必要です。しかし、それらの植物が高く繁茂するところでは日照が不足して生育が阻害されます。適切な時期の人為的な草刈りは、競合する他の植物の生育を適当に押さえてウマノスズクサの生育を助けると言っても良いでしょう。

株の移植を進めつつ、どのような草刈りを何時行えば最良なのか調べる必要があります。

2020.07.16.撮影
2020.07.17.記述


2019年8月15日木曜日

チョウの家(その2)

昨日に次いで青少年科学センター訪問のメモです。

年代順に化石を並べたコーナーでは、京都産の化石として、コノドント、放散虫、有孔虫、ウミユリが展示されていました。

コノドントの模型です。コノドントの化石として残されているのは歯の部分の化石ですが、全体が複数の異なった形の歯を組み合わせた複雑な形だったため、コノドントの化石は様々な形のものが残されています。これはその歯の1つの復元模型です。スケールは500倍くらいでしょうか。

虫眼鏡を用意してあるのですが、全然見えなくて...

肉眼ではもちろん全く見えないので...

カメラで撮影して拡大しました。やっと見えました。が、自宅のコレクションの方が良いようです。

放散中は、チャートの中にも含まれていますが、これはいよいよ微化石ですので、小さなそばかすようにしか見えません。

そばかすです。

 ウミユリは棘皮動物で、ヒトデの仲間です。

ウミユリの「茎」に当たる部分の化石です。

こちらは有孔虫、フズリナの化石です。

白く丸く見えるのがそれです。

屋外にあった大きな岩石標本の石灰岩表面に見えるウミユリの化石です。これは大きいもので、直径2cmほどありました。

これらの化石は2億年から3億年前の海洋で生きた生物の化石です。京都の西山に、「灰方(はいがた)」、隣接した大阪府高槻に「灰出(いずりは)」など、「灰」の文字がつく地名があるのは、これらがいずれも石灰岩を産出した地であることを示します。石灰岩を焼いた生石灰、それに水を加えて消石灰としたものから、セメントや漆喰、モルタルやコンクリートなどを作ります。古来から建築材料として重要でしたので、産地も重要視され、栄えたことでしょう。

青少年科学センターの入り口通路に展示してあった蝶と蛾のコレクションです。ある神社の神職が趣味で集めたものを寄贈したとか。

上記の写真の右上のヨナグニサンの前翅の拡大です。京都近辺にもいるジンジュサンなどもそうですが、大型の蛾は、前翅の先端が蛇の頭部に似ています。これも天敵を脅かす擬態の一種かと思われます。

コレクションには、希少種と思われる蝶や蛾も多数あります。いつ頃採取されたものかは不明ですが、様々な生物種が絶滅の危機に瀕している現在、またデジタルカメラを利用した撮影・保存技術の発達した現在、種を保存する目的以外の、営利目的の、また所有欲を満足させるための生き物の殺戮と収集は、もはや時代遅れであり、かつ非倫理的であるとの認識が必要に思います。

入り口にはヒオウギが実を膨らませていました。 
2019.08.13.撮影
2019.08.13.記述



京北の林内探索

京北の樹木植物に詳しい方に案内していただいて、ホンゴウソウを探しに行きました。昨年枯れたものを見つけられたとか。目的の場所に行くと、Bingo!約20株ほどが集まって、周囲にもまばらに生えていました。ヒノキ林の林床です。そこから冬虫夏草探索に切り替え、ムシヒキアブのアナモルフ、ガ...