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2019年10月24日木曜日

観察記録:秋色濃い植物園の花たち

Here are some of the pictures of the plants I found interesting during my recent visit to the Botanical Garden.

昨日訪問した植物園で注目した草木、花と実を掲示しておきます。

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オオカメノキの芽です。ウサギとも見えますし、バンザイしているとも見えます。愉快な冬芽を持った木です。耳のような部分が葉芽で、真ん中の丸みは花芽です。春先にはこれを見たいために植物園を訪れる方々もおられます。

ツリフネソウです。英語ではtouch-me-not(触らないで!)学名がImpatiens textori Miq.で、属名のImpatiensは英語のimpatientと同じで、「我慢できない、せっかちな」の意味。

熟した種のサヤにちょっとでも触れようものなら、「パチッ」という音を立ててサヤがひっくり返り、種が四方にばらまかれます。西洋ではその性質から名前が付いたものでしょう。小学校の頃花壇の定番だったホウセンカも同属。

 ゲンノショウコは良い具合に神輿になりかけています。

和名の「ツリフネソウ」はこの花をつり下げた帆掛け船に見立てたそうですが、どうやったらそう見えるのか、よく分かりません。白花もあります。しかし、和名はずいぶんと趣があります。

これはタヌキマメ。名残の花がいくつか咲いています。

サヤは毛深い皮に包まれていて、これを見ると「♪たんたんタヌキの...♪」と連想してしまいそうです。京都府のレッドデータブックでは、絶滅危惧種。

ツクバネがきれいに実っていました。

こちらはトキリマメ。熟した時の鞘は鮮やかな赤色になります。

冬イチゴがおいしそうに熟れていました。

この日最も嬉しかったのが、このムラサキの花。通常初夏に咲き、今年は植物園での展示を見逃して、滋賀県の山奥まで見に行ってきました。それがこの季節に咲いているとは。おそらく育成室からここに移植されたのだと思いますが、近くで見られたのは本当に嬉しい。

『万葉集』中、額田王の歌「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」に歌われ、「紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも」と大海人皇子が返したあの花です。

この日は時折日が差す曇り空で、前日は雨。しっとりと湿気を含んだ生態園の木陰に楚々と咲いている様子が良かったです。

つぼみもありますので、まだしばらくは楽しめそうです。
2019.10.22.撮影
2019.10.23.記述




2019年8月4日日曜日

奥永源寺を訪ねて

万葉集の、額田王と大海人皇子が詠んだ歌にもある、ムラサキの花を見たくて、滋賀県は奥永源寺の君ヶ畑町まで出かけてきました。この一帯はかつては蒲生(がもう)と呼ばれる土地で、上記の二人が遊んだ標野(しめの:御料地)はこのあたりにあったということです。

ムラサキは、生薬としてばかりでなく、その根から紫紺(紫根:紺色がかった暗めの紫色)という染料が取れることから大切にされましたが、栽培がなかなか難しく、近代に至って合成染料が普及すると、急速に栽培地と栽培技術が廃れて、現在は絶滅危惧種の仲間に入っています。

奥永源寺の君ヶ畑町は、「木地師の里」として知られる町で、それにまつわるこの地の由緒はなかなか興味深いものです。他の山村の例に漏れず、過疎が急速に進むこの町を活性化させようと、株式会社組織「みんなの奥永源寺」を設立した方がおられて、現在ムラサキの栽培に取り組んでおられ、紫根を使った化粧品などを開発して販売しておられます。

ちょうど開花時期だということでお邪魔しました。

ムラサキの畑は、大皇器地祖神社(おおきみきぢそじんじゃ)の参道脇の、耕作放棄地を利用して作られていました。ちょうど一斉に開花している最中でした。

直径1cmほどの、花弁が5裂した花で、濃い緑の葉に映えてとても清楚な感じがします。

少し引いた写真です。額田王と大海人皇子が詠んだ紫野はこのような景色が一面に広がっていたのでしょうか。

ムラサキはこの参道の右側に栽培されています。

大皇器地祖神社はこのような山村にありながら、大変立派な神社で、実によく手入れされています。地元の方に訪ねると、毎月1日と16日に神社の清掃奉仕をしているとのことでした。

 神楽殿も大変立派なもので、

四隅の彫り物も匠の技と思えます。


境内の杉の木には幹回り6mを越えるものがあり、天と地を結んでいます。

神社の由緒記です。この地については、白州正子を始めとしていろいろな方が書いておられるので、ググってみてください。
2019.08.02.撮影
2019.08.03.記述



2019年6月20日木曜日

ムラサキ

『万葉集』巻1-20に、「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」という額田王の歌があります。これに大海人皇子が返した歌「紫のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにあれ恋めやも」巻1-21があります。相思相愛の熱い恋心を歌ったものとして有名ですが、双方の歌に現れるムラサキは現在京都府のレッドデータブックで「絶滅寸前種」とされており、特別な植物園に行かないと見ることすらできません。長い間探していたのですが、このたびお目もじがかないましたので、その写真を掲載しておきます。

ムラサキという植物は、『万葉集』当時は紫色の染料の原料として重要で、朝廷の直轄領で栽培されていたそうで、紫野とはその地のことだそうです。標野は一般人の立ち入りが禁じられた御料地。京都市内にも紫野という地名がありますので、古くはその付近で育てられていたのでしょうか。

初めて見たムラサキは、杉皮に包まれて、特別扱いです。水はけのよい土地を好むそうで、このようなあつらえになっているのでしょう。かつては広く作られていた植物が、なぜ絶滅寸前になってしまうのでしょうか。考え込んでしまいます。
2019.06.02撮影







池端で

買い物の帰りに遠回りをして池端の野鳥を見てきました。折からの寒波でこの冬一番の冷え込み。横殴りの風が吹く中の観察です。人の出がないので、日頃は隠れていがちな野鳥の姿を認めることができました。 ヒクイナです。 タシギです。 クイナです。 晴れ間に突然カワウの一群が飛び立ったと思った...