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2020年11月19日木曜日

小春日和

 11月も後半に入ったというのに、暖かな日が続いています。京都気象台発表の今日の最高気温は24℃。ベランダでサナギになっている蝶の様子を心配していました。日陰に入れてあるのですが、気温の上昇で暖まりがちです。確認するとヒメアカタテハが羽化してしまいました。この蝶は寒さの厳しい地方では幼虫越冬、温暖な地方では成虫越冬と理解していますが、京都は冬の寒さが厳しく、生き抜くのはなかなかではないかと思います。

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15日の夕方に確認したところ、羽化していました。元気がないので羽化後時間が経過しているのかと思い、柔らかい干し柿を与えてみましたが、食欲はないようです。お尻から体液を分泌しましたので、当日午後の羽化と判断し、そのままベランダで一晩過ごさせました。


翌朝見ると、飼育容器の底に倒れて動きません。寒さで死んだか!と驚いて部屋に入れ、しばらく見ていると少しずつ動き始めました。

指に止まる力が戻った時点で、ベランダの百日草に止めたところ、さっと羽を広げて陽光を受けています。体を温めているのです。

体力の回復を確認したかったのですが、今日は仕事でこのままにしておきました。今冬はラ・ニーニャの影響で厳しい冬が予報されています。無事来春まで生き残ると良いのですが。

2020.11.15. & 16.撮影
2020.11.18.記述




2019年10月8日火曜日

観察記録:秋の野原に遊んで

A short walk on the riverbank takes me to a stretch of Brazilian verbena, or Verbena brasiliensis. Its flowers bloom till late autumn, providing honey seeking insects precious opportunity to suck on the nectar.

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秋の深まりと共に蜜源植物が少なくなりますが、この時期に、夏の休眠期間を終えて再び咲く花に、アレチハナガサの類があります。アレチハナガサ、ダキバアレチハナガサ、ハマクマツヅラ、ヤナギハナガサなど。いずれも野生種のバーベナで、いずれも今世紀に日本に到来した外来種です。日本の河川の河川敷に広く繁茂し、今ではセイタカアワダチソウなどと並んで、秋の風物詩になった感があります。

この花は、秋の終わりまで咲き続け、蜜を求める虫たちの貴重な蜜源となっています。

ベニシジミです。今は色の濃い夏型です。

ウラナミシジミです。ちょこっと出た尾状突起と一点さしたオレンジ色がチャームポイント。

イチモンジセセリです。食草がイネ科の植物で、かつては稲の害虫として悪者扱いされました。この時期にならないと見られません。セセリチョウの代表格。

先ほどのベニシジミの翼の表側です。春型は全体に色が薄いです。

ツバメシジミのオスのようです。シジミチョウは小さい上に敏捷で、しかも翼の表をなかなか見せてくれないので、同定が難しい場合があります。

ウラナミシジミの翼の裏表両方が見えます。

ヒメアカタテハです。食草はヨモギ。今年はこれを二頭卵から成虫にまで育てました。幼虫は巣を作ってゆったりした生活を送りますが、成虫はきわめて敏捷です。蛹が黄金色で実に美しい

翼の表が見えます。

シロオビノメイガです。

ツマグロヒョウモン(メス)も来ていました。

翼の裏側が見えます。

再びヒメアカタテハ。図鑑的写真です。

帰路に立ち寄ったガガイモの壁では、今年は豊かな実りが期待できます。


葛の葉にコムラサキが休んでいました。

口吻が黄色です。ゴマダラチョウなどと同じです。

 モンキチョウが交尾していました。

草原ではノビタキの姿が見えます。2週間ほど立ち寄って、南に下っていきます。

蝶やバッタたちはノビタキのエネルギー源になります。

 今年は河原の一部でノゲイトウの花園ができていました。

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さて、先日来育てていたアケビコノハが成虫になりました。2匹育てて、1匹は病死(あるいは寄生虫によるものか)。河川敷の茂みで自然に育って蛹になった2匹は寄生バエの犠牲になり、結局4匹のうちこの1匹だけが成虫になりました。

怒りんぼで、ちょっと刺激を与えると、飼育器の中で興奮して暴れまくります。これはリリース直前。かろうじて羽を広げた写真を撮ることができました。

美しい目玉模様です。木の葉への見事な擬態と共に自らを守る数少ない手段です。
2019.10.07.撮影
2019.10.07.記述



2019年9月22日日曜日

飼育記録:黄金色の蛹

ヒメアカタテハの蛹が羽化しました。愚鈍とも思える幼虫時代とは異なり、機敏に飛び回ります。やっとの事で捕まえてリリースしましたが、あっけなくさっさと飛び立っていったのはちょっと残念。少しは未練らしきものを見せてほしかったです。が、仕方ありませんね。蛹化から羽化までに要した時間は5日あまりで、これまで羽化させた蛹よりもずいぶん短かったです。

この蝶は卵から育てましたが、育ててわかったことがいろいろあります。その第一は、蛹の美しさです。南方に生息するオオゴマダラが金色の蛹を作ると聞いていて、是非見たいものだと思っていましたが、このヒメアカタテハの蛹の美しさは、オオゴマダラのものより派手さが抑えられ、薄衣をまとったような上品な金色で、えもいわれぬ気品があります。ぜひもう一度育ててみたい蝶です。

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羽化したヒメアカタテハです。夜半に羽化したもので、朝にはすでに羽根がしっかり乾いており、この直後逃げ回って困りました。

もう一個体のヒメアカタテハです。最初のものよりも黄金色が際立っているようで、実に美しいです。これも2,3日中には羽化するでしょう。ヨモギを食べて、糞だらけの巣に籠もって、よくもこんなに美しい蛹が作れるものだと思います。
2019.09.18.撮影
2019.09.21.記述




2019年9月13日金曜日

飼育記録:ヒメアカタテハの蛹化:真珠のような美しい蛹

今日は少し遠出をして留守にしていたのですが、その間にヒメアカタテハが蛹になりました。朝出かける前に新しいヨモギを与えた時には、素直に新しい枝に移ってきたのですが、わずか半日で蛹化してしまいました。このスピードには驚きました。

蛹はツマグロヒョウモンと似ていますが、半透明の殻を通して内部が透けて見え、全体にかかるパールのような乳白色が印象的です。また背中の刺の部分はすべて金色がかっており、実に美しいです。糞の巣に隠れた刺だらけの幼虫からは想像できない姿です。

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ヨモギの葉陰に隠れるようにして蛹化したヒメアカタテハの蛹です。

半透明の殻を通して、蛹の内部を見ることができます。触角、眼などが確認できます。また、胸から腹にかけての突起は金色を帯びて美しく光っています。

これが幼虫です。卵から育てて、終齢幼虫になっています。明日か明後日には蛹化するでしょう。

このような巣を張って、終日中で暮らしています。巣にはしばしば糞が積もって、すぐれたカモフラージュの役割を果たしているようです。

これが頭の部分。ツマグロヒョウモンより長い刺と毛が生えていますが。刺すこともなく無害です。

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一方で羽化が遅れていたツマグロヒョウモンの一匹が死んだようです。蛹の殻の中で体が縮んでいます。

 拡大してみると、尾部に穴が空いているのが分かります。寄生蜂かもしれません。

こちらはツマグロヒョウモンの最後の終齢幼虫です。40匹余りをレスキューした最後の一匹です。餌の確保が大変でした。5対ほどある眼が確認できます。幼虫は世界をどのように捕らえているのでしょうか。
2019.09.12.撮影
2019.09.12.記述





2019年9月12日木曜日

飼育記録:ツマグロヒョウモンは駆け足チャンピオン

今朝もメスのツマグロヒョウモンが羽化しました。大変美しい個体です。




この夏いろいろな蝶や蛾の幼虫を飼育することになり、新たな事実に気づきました。各々の蝶の特技です。

特技一覧
ツマグロヒョウモン:駆け足チャンピオン:とにかく足が速い。
オオスカシバ:葉化けが得意:毎朝探してもなかなか見つからない。忍者です。
ジャコウアゲハ:ユニフォームを脱がない:小さい頃から同じ模様です。
ヒメアカタテハ:巣を作って籠もります:安全第一、慎重派。

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ツマグロヒョウモンの早足には参ります。敷紙や餌を替えようと、ちょっと目を離した隙に逃げ出して、すたこらすたこら走ります。ちっちゃな赤ちゃんが四つん這いで走り廻るようで、可愛いです。

オオスカシバの擬態については以前も書きましたが、体側のくびれがクチナシの葉の葉脈のしわとそっくり。小枝にじっと止まると、背中がクチナシの青い枝そっくりで、毎朝掃除の度に数をカウントするのに難儀します。

アゲハの類は一般的に、四齢幼虫あたりまでは、鳥の糞そっくりの白黒模様ですが、それ以降終齢幼虫までは目玉模様の青虫になります。ところがジャコウアゲハは小さな頃から終齢幼虫まで、あのゴジラのような突起のある、黒+白+黒の模様を変えません。体内に毒を蓄えて、外敵にむしろ知られるようにしているからでしょうか。

ヒメアカタテハは今回初めて卵から飼育していますが、自然界でそうするように、巣を作ってその中に籠もっています。夜になるとそこから這い出てきて、周囲のヨモギを食べます。ちょっと用心深すぎるようですが、糞にまみれた巣は外敵から身を守るには格好です。

ツマグロヒョウモンが走る姿を録画しました。


2つのビデオをあわせると、20秒で33 cmは走っているようです。ということは、仮に1秒間に1.65 cmとして、1分間に99 cm(約1m)、1時間で5940 cm(約60メートル)、1日では142560 cm(約1.4キロ)ということになります。

実際にはそれだけの距離を一気に駆けることはないでしょうが、まばらにしか生えていないスミレを食草として彷徨しなければならないノマド的な生き方には、必須の能力であると思います。

2019.09.11.撮影
2019.09.11.記述

 


池端で

買い物の帰りに遠回りをして池端の野鳥を見てきました。折からの寒波でこの冬一番の冷え込み。横殴りの風が吹く中の観察です。人の出がないので、日頃は隠れていがちな野鳥の姿を認めることができました。 ヒクイナです。 タシギです。 クイナです。 晴れ間に突然カワウの一群が飛び立ったと思った...