2019年9月12日木曜日

飼育記録:ツマグロヒョウモンは駆け足チャンピオン

今朝もメスのツマグロヒョウモンが羽化しました。大変美しい個体です。




この夏いろいろな蝶や蛾の幼虫を飼育することになり、新たな事実に気づきました。各々の蝶の特技です。

特技一覧
ツマグロヒョウモン:駆け足チャンピオン:とにかく足が速い。
オオスカシバ:葉化けが得意:毎朝探してもなかなか見つからない。忍者です。
ジャコウアゲハ:ユニフォームを脱がない:小さい頃から同じ模様です。
ヒメアカタテハ:巣を作って籠もります:安全第一、慎重派。

*****

ツマグロヒョウモンの早足には参ります。敷紙や餌を替えようと、ちょっと目を離した隙に逃げ出して、すたこらすたこら走ります。ちっちゃな赤ちゃんが四つん這いで走り廻るようで、可愛いです。

オオスカシバの擬態については以前も書きましたが、体側のくびれがクチナシの葉の葉脈のしわとそっくり。小枝にじっと止まると、背中がクチナシの青い枝そっくりで、毎朝掃除の度に数をカウントするのに難儀します。

アゲハの類は一般的に、四齢幼虫あたりまでは、鳥の糞そっくりの白黒模様ですが、それ以降終齢幼虫までは目玉模様の青虫になります。ところがジャコウアゲハは小さな頃から終齢幼虫まで、あのゴジラのような突起のある、黒+白+黒の模様を変えません。体内に毒を蓄えて、外敵にむしろ知られるようにしているからでしょうか。

ヒメアカタテハは今回初めて卵から飼育していますが、自然界でそうするように、巣を作ってその中に籠もっています。夜になるとそこから這い出てきて、周囲のヨモギを食べます。ちょっと用心深すぎるようですが、糞にまみれた巣は外敵から身を守るには格好です。

ツマグロヒョウモンが走る姿を録画しました。


2つのビデオをあわせると、20秒で33 cmは走っているようです。ということは、仮に1秒間に1.65 cmとして、1分間に99 cm(約1m)、1時間で5940 cm(約60メートル)、1日では142560 cm(約1.4キロ)ということになります。

実際にはそれだけの距離を一気に駆けることはないでしょうが、まばらにしか生えていないスミレを食草として彷徨しなければならないノマド的な生き方には、必須の能力であると思います。

2019.09.11.撮影
2019.09.11.記述

 


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