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2019年12月7日土曜日

知恵者カラスの仕業

京都御苑を散策していて、カラスの仕業を見つけました。一昨年昨年と目撃しながら、余り良い痕跡を見つけることができなかったのですが、今回はバッチリです。動かぬ証拠とでも言いましょうか。場所は寺町御門を少し入ったところ、スダジイの林と野球場との境目あたりです。

時間は朝の10時半頃、遠目にハシボソガラスが多数集まって何やらかまびすしい。どうも餌を食べているらしい。近くに寄っていくと、カラスたちは用心しながらグラウンドの方へ立ち去りました。カラスがいたあたりを見ると、シイの木の根元に沢山のドングリの殻が...よく見るとドングリと見えたのはシイの実で、ほとんどが半分に割れ、中身をほじり出されています。なかにはまだ中身が入ったままのものもあります。私が近づいたので、あわてて逃げたためかもしれません。

鳥が道具を使うことは知られていて、これに近いものは、イギリスのウタツグミ(song thrush)が、カタツムリを石に打ち付けて殻を割って食べる行為が知られています。ウタツグミは自分のお気に入りの石を持っていて、anvil(金床)と呼ばれます。今回観察したシイの木の根元も、具合の良さそうなところは皮がはげるほど使っていて、周囲にはシイの実の殻が一面に散らばっています。これは知恵者カラスの立派な「金床」と言えるでしょうね。

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カラスたちが去ったシイの木の根元です。無数のドングリの殻が散らばっています。

拡大します。ドングリはシイの実であることが分かります。

嘴で挟んだ実を打ち付けていたところです。根の皮の一部(写真中央)が白くはげています。この部分の使い心地がよほど良かったのでしょう。

周辺には時折割れていないシイの実もありますが、これらはみな実りが悪くて中身は空っぽです。中身のしっかりした実をよく選んでいます。 

グラウンドではカラスたちが恨めしそうに(主観です)私の去るのを待っていました。

以前目撃したときには、カラスはマテバシイの実をつついていました。シイの実もマテバシイも、ドングリの仲間では渋味がないものとして知られています。特にシイの実は、全く渋味がなくてとてもおいしいドングリです。一方で、御苑に多数あるドングリの木はアラカシやウバメガシですが、これらはとても渋いドングリを実らせます。

渋味のないドングリを好んで食べるということは、カラスは渋味を避けるという点では人に近い嗜好を持っていると言えるかもしれませんね。

2019.12.05.撮影
2019.12.07.記述




2019年8月12日月曜日

京都の町中でキノコを観察

町中の緑地でキノコ観察に参加しました。いろいろと勉強になることが多かったのですが、メモを正確にとるのが難しくて、少々の間違いがあるかもしれません。以下、珍しいと思ったキノコのメモ書きです。

傘を作らない背着生のキノコです。カバノアナタケと聞きましたが、正しいかどうか。

表面の拡大です。襞のようになっている部分は、胞子を含んだ管孔(かんこう)という部分で、一つ一つの孔を孔口と言うそうです。

さらに拡大すると、様子がよく分かります。

ヒメツチグリです。晴天続きで、残念ながら乾ききっていました。

別の角度から、同じ株です。

アズマタケだと思います。松の木の朽ち木にしか生えないそうで、朽ち木がぼろぼろになっても、このキノコが生えることでその切り株が松だと分かるそうです。

モミサルノコシカケというキノコだそうです。珍しいそうです。成長が遅く、10年余りかかってここまで成長したとか。サルノコシカケの類が成長しているときには、粉を吹いたように見えるそうです。

ヒラフスベというキノコだそうです。白飛びしてしまいましたが、ふっくらとクリームチーズを絞り出したようです。

 変形菌(粘菌)も6種見つかりました。これはアカモジホコリの子実体です。

拡大します。

 こちらはシロモジホコリ。

拡大します。

紅白の変形菌が見つかって、大変おめでたい観察会となりました。

2019.08.11.撮影
2019.08.11.記述



2019年8月7日水曜日

センニンソウとキイロハバチ

真夏の暑さをものともしないで咲き始める花にセンニンソウがあります。センニンソウはつる性の多年草で、真夏から初秋にかけて純白の花を多数付け、美しく咲きます。名前の由来は、実った種に付属する白い綿毛を、仙人のひげに見立てたことにあります。

キンポウゲ科の植物の例に漏れず有毒で、毒性物質(プロトアネモニン)を含み、微量ならば生薬として用いられますが、手洗いがまだくみ取り式の頃には、この草を切って表面に撒いておくとウジが湧かないとされ、駆虫剤として使われていました。剛健な草本で、冬でも地上部が枯れずに、翌年また芽吹くこともありますが、近年は堤防の草刈りの徹底によって株数と開花面積が狭まり、一面のお花畑にはなかなかお目にかかれません。

今年も開花を楽しみにしていた株があったのですが、今日確認に行ったところ、無残なことになっていました。キイロハバチの食害です。キイロハバチは、ルリチュウレンジやクルミマルハバチなどのように草食性で巣を作らない原始的なハバチの仲間です。この幼虫は、こともあろうに、このセンニンソウを食草としています。幼虫は終齢幼虫でも体長2センチほどの細長いイモムシですが、一時に産む卵の数が多いせいか、いったん発生すると、あっという間に一株のセンニンソウを丸裸にしてしまいます。

白い蝋状の物質で薄く体を包んでいるようです。すでに葉は食べ尽くされて、茎しか残っていません。

ちょっとクルミマルハバチに顔が似て可愛いところもあるのですが、フードをかぶったカトリックの司祭のようにも見えます。

とにかくこの株は今年は諦めて、他の株を探すことにします。

2019.08.06.撮影
2019.08.06.記述



2019年8月6日火曜日

ミノムシ

玄関口のガラス戸になぜか小さなミノムシが大量に発生(?)しています。5ミリほどの大きさですが、立派な蓑を身につけています。脇にツツジの株があるのですが、そこに親がいたのでしょうか。

ミノムシは、幼い頃から格好の遊び相手で、大きなミノムシが柿の木などにぶら下がっているのを取り込んで、丸裸にし、母の裁縫道具箱から毛糸をせしめて、細かく切った毛糸の中に放り込んで、カラフルな蓑を作るのを楽しんだものです。ミノムシにすれば良い迷惑だったでしょう。

ところが昭和50年代(1970年代)頃でしょうか、ミノムシにとりつく寄生虫が発生して、日本国内のミノムシが激減し、種によっては一時絶滅の危機に陥ったことがありました。現在は若干回復してきているようですが、昔のように冬の木を見上げると、ミノムシがぶらぶらとぶら下がっている情景は、確実に過去のものになりました。

日本のミノムシは現在15種ほどですが、そのほとんどがオスのみ飛翔ができて、メスは羽が退化し、蓑の中で蛹から成虫になり、オスが訪れて交尾した後は、産卵してそのまま蓑の中で死んでいきます。

したがって、玄関口に湧くように現れたミノムシの母親はきっとツツジの株の中にいるのだろうと、目をこらして探しますが、見つかりません。

ガラス戸の上のミノムシですが、これも毎日一つずつつまんで集め、桜の木に逃がしてやっています。ミノムシの恩返しがあるかも...です。

ガラス戸を登るミノムシたちです。ツルツルの表面も平気でどんどん登っていきます。

桜の古木に放したミノムシです。はやりミノムシは樹木の上が似合います。完全に木化けしています。

ティシューペーパーの上を歩くミノムシです。小さいながらもスピードと力は侮れません。
2019.07.25.撮影
2019.08.04.記述



2019年8月2日金曜日

オオフタオビドロバチ:生存のドラマ

ベランダに30cmほどに切ったヨシの茎を束ねておいてあります。これはマメコバチ、ハキリバチ、狩りバチなど細長い茎に巣作りをするハチのためです。よく使ってくれるのはオオフタオビドロバチで、このハチは黒い体の腹部に黄色い帯が2スジ入った狩りバチです。主にメイガの幼虫など蛾の幼虫を捕らえて、中枢神経に針を刺し、仮死状態にしてから巣に入れて卵を産み泥で蓋をします。

幼虫は孵化すると、蛾の幼虫を食料として育ち蛹となって、羽化すると泥の入り口を破って出てきます。巣は竹筒やヨシの筒に作り、中は育房と呼ばれる小部屋に分かれています。その中に蛾の幼虫を蓄え、1部屋に1個の卵を産み付けるわけです。奥の育房が早く作られますので、奥の方の幼虫の成長が早く、奥の方から順に成虫になるはずですが、成虫となって脱出するときに、どの順番でどのように脱出するのかはよく分かりません。

先日来、母バチが巣を作っているのは知っていました。今日小ぶりなオオフタオビドロバチがベランダにいるのに気づいて、調べたところ羽化したものであるのに気づきました。

羽化したばかりなので十分な飛翔能力がなく、見ている間にベランダの隅の蜘蛛の巣にかかり、すんでの所でクモの餌食になるところでした。気づくのがほんの一瞬遅れたら、間違いなく餌になっていたでしょう。

その蜘蛛の巣ですが、よく見ると、奥の方に大きなオオフタオビドロバチが餌食になっていました。実は巣を作っていた母バチの姿がある日忽然と見えなくなったのですが、どうもこれがその末期の姿のようです。巣作りの作業中に誤って蜘蛛の巣にかかってしまったようです。

蛾の幼虫がドロバチの餌食になり、そのドロバチがクモの餌食になる、そのクモもベランダを訪れるスズメたちの餌食にいつなるとも分かりません。ほんの小さな空間にも厳しい生存のためのドラマが展開しています。

羽化してベランダのガラス戸に止まったオオフタオビドロバチです。小ぶりの体ですので、オスでしょうか。

育房が作られたヨシの茎です。ハチたちが巣を作るために置いてあります。右上の穴から出てきたようです。まだ2本は泥で蓋がされたままです。そのうちの1本は写っていません。

こちらは反対側。一本の茎が泥でふさがれています。

これは想定外で、縦に立てかけてあった竹棒に作った巣。午後に大きめの成虫が飛び出していきました。メスでしょうか。

蜘蛛の巣から外してやったオオフタオビドロバチです。まとわりつく蜘蛛の巣を一生懸命に取り除いています。

反対側です。目がくぼんでいるのが気になりますが、この後しばし休息した後、元気に飛んでいきました。

こちらは蜘蛛の巣にかかっていたオオフタオビドロバチ。大きさからして、巣を作っていた母バチのように思います。
2019.07.29.撮影
2019.07.29.記述



2019年8月1日木曜日

ジャコウアゲハ(その10):羽化、動画付き

予定どおり、30日に第1号と第3号が羽化しました。これで計4匹。明日31日には第5号と第7号が羽化する予定です。第0号から第14号までの15匹のうち、プラスチックや塗装した手すりなどの人工物で蛹化したものが10匹、自然物の上で蛹化したものが4匹でした。後者の内訳は、葉裏1、桜の枝1、ウマノスズクサの蔓2です。他のアゲハ類を同時期に大量に飼ったことはないので、比較できませんが、昨年末に堤防のガードレールにジャコウアゲハ20数匹が蛹化していたことを考慮に入れると、やはりこの蝶には何か人工物を好む理由があるのかもしれません。

朝5時に目が覚めて気づき撮影した、羽化直前のジャコウアゲハ(第3号)です。全身が黒ずんで、時間と共に蛹の殻と体の間に隙間ができてきます。

側面です。

羽化後約30分で羽が全開しました。飛べるようになるにはまだ数時間必要です。

ほぼ同時に羽化した第1号です。飼育ケースの側面で蛹化したものです。低い位置でしたので、羽化した時に羽を伸ばしきれないと判断したので、あらかじめ摑まるための割り箸を蛹の両側に立てておきました。割り箸には足をかけやすいように、横に刻み目を入れています。

これら2頭は羽化後約3時間で羽ばたくようになりましたので、放蝶しました。

第3号の羽化の様子をメモ代わりに貼付しておきます。セミと異なり、殻を割ってスルスルと体が出てきます。
2019.07.30.撮影
2019.07.30記述




2019年7月31日水曜日

ジャコウアゲハ(その9):羽化

29日朝ジャコウアゲハが羽化しました。18日にアジサイの葉陰で蛹化した個体(これを第0(ゼロ)号と読んでいました)と、保護して飼育箱で19日に蛹化した第2号です。蛹化は一日ずれていましたが、同じ日に羽化しました。前者は私が近づく足音にぱっと飛び立ち、その後ウマノスズクサの株の周囲を2,3度往復して飛び去りました。後者は羽が固まり、ベランダの花に止めると間もなく桜並木の中に消えていきました。

現在、羽化したものも含めて蛹の数は15匹を確認していますし、里子に出した7匹も無事に蛹化したと仮定すると、22匹が無事育ったわけで、この夏はこの付近のジャコウアゲハの個体数の増加にずいぶん貢献できているのではないかと思います。

今朝羽化した2号は、前夜体色が著しく変化していました。胸から上が青黒くなり、成虫の体色が透けて見えているようです。

横合いから見た写真です。明るく映っていますが、羽の部分にも脈が出て、かなり黒っぽくなっていました。
以上、2019.0728.撮影

今朝の写真です。証拠写真しか撮れていませんが、第2号の羽化です。前翅が灰色をしていますので、メスのようです。写真奥のアヒルは置物です。

明日30日には、第1号と第3号が羽化する模様です。体色に変化が見られます。
2019.07.29.撮影
2019.07.29.記述




2019年7月28日日曜日

蝉の羽化

蝉の羽化が楽しめる季節になりました。敷地内には樹齢40年ほどのムクの木が3本あり、この場所が蝉たちがもっとも多く羽化する場所になっています。最近ニイニイゼミの羽化が少なくなりましたが、クマゼミは毎年数多く羽化しています。

午後の8時頃から10時頃まで夜の散策のついでに観察すると、この場所だけで一晩に多いときで8匹ほどの羽化を観察することができます。蝉の種類にもよりますが、6~7年地下で過ごした蝉が、一晩のうちに地上に現れ、ほんの1時間ほどの間に空を自由に飛べる姿に変身します。いつ見ても不思議で感動を覚えます。

特に羽化したての蝉は、体色が白く、羽が白か透明で、光を当てると七色に輝き、妖精のように美しいと思います。


クマゼミ(♀)です。殻から体を引き抜き、足で殻に止まり、羽を伸ばし始めたところです。

伸びる羽が光の中で紫がかった虹色に光ります。この時だけの現象です。

 近くのサンショの木ではアブラゼミが羽化していました。すでにたたんだ羽が黒く色づき始めています。

今夜羽化する幼虫が次々と木を登っていきます。
2019.07.27.撮影
2019.07.27.記述






2019年7月27日土曜日

ハゼラン(その2)

ハゼランが誰かによって引き抜かれたことは以前書きましたが、その抜かれた枝を水差しに挿して置いたところ、ほぼ毎日花を咲かせてくれるばかりでなく、しばらくすると、茎の末端から白い根が生えてきました。

調べてみると、引き抜かれた株のそばに放置された枝からも、やはり根が出ていたので、これを土に埋めておきました。

すると、翌日、またまた誰かによって引き抜かれ(!)さらにはこれまで花穂を出していなかった小さな株まで、掘り起こされて抜かれてしまいました。

まるで権兵衛とカラスの化かし合いです。それならばと、自宅ベランダで育てることにしました。

古いプランターに土を入れて、抜かれた枝をすべて集めて差しておきました。これでしばらくすれば、ハゼランの花園ができることでしょう

その後は...種を採って、あちこちにばらまくことにします。ハゼランは元々花を楽しむ園芸種として導入されたのですから、きっと楽しんでくれる方々も多いと思います。数年がかりのプロジェクトですが、試みてみましょう。

引き抜かれて、根っこはなかったのですが...

わずかな間にこの通り、立派な根が生えてきました。その後に抜かれたものも含めて、プランターに植え込みました。

うまく活着するかどうかは分かりませんが、様子を見守りたいと思います。


作業中に、アブラゼミが見物に来ました。
2019.07.25.撮影
2019.07.25記述




京北の林内探索

京北の樹木植物に詳しい方に案内していただいて、ホンゴウソウを探しに行きました。昨年枯れたものを見つけられたとか。目的の場所に行くと、Bingo!約20株ほどが集まって、周囲にもまばらに生えていました。ヒノキ林の林床です。そこから冬虫夏草探索に切り替え、ムシヒキアブのアナモルフ、ガ...