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2019年12月14日土曜日

種子を広める:飛ぶ種さらに追加2点

おなじみの飛ぶ種を追加しておきます。

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これはイロハモミジ。ご存じ翼の付いた種子がくるくると回ります。翼の回転は、滞空時間を延ばして、風に乗り、できるだけ遠くに種子を散布しようという知恵なのでしょうね。

メモリは1ミリです。
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こちらはアキニレ。ニレの仲間のうちで秋に花を咲かせるのでこの名前が付いていて、花期は9月頃とか。あちこちに生えているのですが、恥ずかしながら、油断していて、未だに花を見たことがありません。他の草花がまだ繁茂している9月頃に、目立たない花を付けられても、気づきませんよね。

拡大します。

秋の黄葉が美しいです。桂川近辺の冬には、この種子は特にカワラヒワの重要な食料になります。

小さな薄い種子で、どこに実があるのかと思うのですが、体の小さな小鳥にとっては相対的に大きな種子で、結構食べ応えがあるのかもしれません。とにかく多産な樹木ですので、量は沢山あります。

周囲は翼。内側に濃く見えている部分が種子です。スケールは1ミリです。

2019.12.11.撮影
2019.11.13.記述




2019年12月13日金曜日

種子を広める:飛ぶ種追加1点

キリの木といっても実はいろいろあるようです。キリ、アオギリ、イイギリはそれぞれ、キリ科、アオイ科、ヤナギ科に属する樹木です。実の形を見れば全く異なる種であることが分かります。

アオギリやイイギリは公園などに植えてあることも多いのですが、キリにはなかなかお目にかかれません。ですが、幼い頃を過ごした郷里の町では珍しい樹木ではありませんでした。キリは軽く加工しやすく、湿気を通さないことから古来タンスの材料として重んじられてきました。また、断熱性や火に強いいことから、金庫の内張にも用いられてきました。

故郷に近い越前では、北前船に乗せる船舶用の金庫、船箪笥は外側を丈夫なケヤキで、内側を桐で作られました。頑丈な鉄枠で守られ、錠前を施された船箪笥は相当に重いものだったと思いますが、船が難破しても、船箪笥だけは軽い桐の浮力と機密性で中身を損なうことなく波間に浮かんだそうです(あるいはそうあれとの願いだったかもしれません)。とまれ船箪笥にも必須の材料であったのは間違いありません。

昔から女の子が1人生まれると桐の木を1本植え、嫁に行く際にはその桐の木でタンスを作るということが言われていました。私は男兄弟でしたが、裏の畑には4,5本の桐の木が植わっていたのを覚えています。成長が早く、材が柔らかいせいか、幹の中にカミキリムシなどが入ることが多く、祖父が入り口に泥に練り込んだ薬剤を詰めていたのを覚えています。

当時は種がこぼれて道端や屋敷の隅の空き地などあちこちに桐の若木が生えていました。昔はどこにでもあった桐の果実と種子になかなか会えなかったのですが、このたび手に入れましたので、観察してみました。

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種子はとても小さな軽いもので、周囲に翼があります。

メモリは0.5ミリですので、種子の差し渡しは2ミリ程度、翼を含めても5ミリあるかないか。極小の種子です。

種子はこのような果実の殻の中に入っています。

部屋は2室に分かれていて、それぞれに数百の種が外側から内側にかけてびっしりと並んでいました。これは種がかなり飛んでほぼ空になった状態です。

それにしても、種子は小さいです。時折、巨樹の種が余りにも小さいことを知って驚きますが、キリも種子を観察してみて、その余りの軽さと小ささに驚きました。

2019.12.11.撮影
2019.12.12.記述



2019年12月5日木曜日

種子を広める:飛ぶタネ

寒波の到来でこの1週間は全国的に厳しく冷え込む予報です。夏や秋に咲いた花は実をつけ果実や種子を周囲に広げようとする、種子散布の季節です。方法はいろいろとありますが、飛ぶ、くっつく、食べられる、流れるなどが代表的なものでしょう。

飛ぶ種を4種記録しておきます。

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まずはガガイモ。これはこのブログでも何度か取り上げましたが、今年はよく繁茂してあちこちに独特の形の実を見つけることができます。袋状になっているので、袋果と呼びます。同じガガイモでも、表面に凹凸があるものと、滑らかなものの2種があるようです。採取したもののうち、器量よしのものを並べました。

芋のような紡錘形の形の袋果の中には綿毛のような毛の生えた種子がびっしりと詰まっています。袋果が熟して乾くと縦に1本亀裂が入り、次第に口を開け、種子が風を受けて飛んで行きます。種子は毛を内側に、種を外側に向かって付いています。


個々の種子は中央部が若干ふくれたうちわ型です。毛は種子に対してとても長い。

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次にユリノキ。近年街路樹としてもしばしば見かけるようになりました。日当たりの良い広々とした場所では大木になります。果実はろうそく型の集合果で、個々の種子はへら状の形をした翼果です。種子が実って乾燥するとばらけた状態になり、果実が風に揺られる度に果実の縁からこぼれるように落ちて風に舞います。この木の葉は半纏(はんてん)に似ていることから、ハンテンノキとも呼ばれます。


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次にアカマツ。ご存じ「松ぼっくり」は松の仲間の果実の総称です。松ぼっくりは湿ると閉じ、乾くと開きます。この開閉を繰り返すうちに中の種子がこぼれ落ちるというわけです。

鱗片の根元に2つずつの翼果が見えます。


翼を持つ松の種子は比較的小さいですが、翼を持たない大きな実をつける松もあり、そのような種の種子はとても大きいです。実を包む外皮も分厚くて、石でたたかないと割れないようなものもあります。日本固有の松はほとんどが翼を持つ小さい種子の種類です。

この松ぼっくりの種子を好んで食べる鳥がヤマガラやカケス。リスたちの好物でもあります。リスが食べた食痕は「森の海老フライ」と呼ばれて、子どもたちが見つけると大喜び。

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最後にケヤキ。これは何度か書いていますが、着果短枝と呼ばれる果実を結ぶための特殊な枝に花が咲き、果実が熟す頃には着果短枝が種子をつけたまま、風に舞い落ちます。着果短枝は早々と飛ぶものも多いのですが、かなり遅くまで木にしがみついているものも沢山あるようです。通常の葉が散った後に、しっかり残って、黒っぽい固まりのようになっているのがそれです。強い北風が吹くと、さわさわと南に向かって枝を飛ばす姿が見られます。


2019.11.30. 2019.12.03.撮影
2019.12.03.記述
2019.12.06.修正






池端で

買い物の帰りに遠回りをして池端の野鳥を見てきました。折からの寒波でこの冬一番の冷え込み。横殴りの風が吹く中の観察です。人の出がないので、日頃は隠れていがちな野鳥の姿を認めることができました。 ヒクイナです。 タシギです。 クイナです。 晴れ間に突然カワウの一群が飛び立ったと思った...