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2019年12月21日土曜日

種子を広める:ひっつき虫追加1点:チカラシバ

チカラシバは畑の中よりはむしろ道ばたや野原に多いイネ科の植物です。名前の由来は、力を入れないと穂が抜けないし、根っこからも抜けない強情さから来ています。晩秋に種子が熟すと、穂から簡単に外れ、人が通りかかると、セーターや靴下などに刺さって、動けば動くほど食い込むという、なかなかしたたか者です。一般にイネ科の植物は葉の辺縁にに細かい棘(微鋸歯)があり、不用意に触るとこれで手を切ったりします。この鋭利な微鋸歯は珪酸化合物などからなるガラス質の物質で「プラントオパール」とも呼ばれます。

種子を包む総苞毛(種子の周囲の毛)にも同様の物質と仕組みがあるのでしょうね。これを観察してみました。

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チカラシバの種子です長い総苞毛は約3cm。

よく見ると、毛の表面がなめらかではありません。

さらに拡大。ギザっぽいです。

上の写真を拡大してみました。ここまではカメラとマクロレンズでの撮影。

さらによく見るために顕微鏡を持ち出しました。スマホでの撮影になります。

無理に拡大したので画像が鮮明ではありませんが、微鋸歯がびっしり並んでいるのがわかります。これが「逆棘」の役割を果たして、一方向にしか進まないようになっているわけです。この写真の置き方では、この種がセーターなどに食い込むと、右方向に進んでも左方向には戻りません。

このような仕組みで人や動物にくっついて運ばれ、さらには地面に落ちた場合、地下に徐々に潜り込むことが可能になるのでしょう。おそらくこのような構造だろうとは推測していましたが、実際に見て納得です。

2019.12.20.撮影
2019.12.20.記述



2019年12月10日火曜日

種子を広める:ひっつき虫追加1点

ひっつき虫を追加します。イノコズチです。イノコズチには日のよく当たる道端に生えるヒナタイノコズチと、林の日陰に生える日陰イノコズチがありますが、これは後者の方。たくさん生えているところに足を突っ込むと、ちょっと悲惨な目に遭います。

マクロ撮影は新規に導入したXYステージを使って撮影しました。0.01ミリ単位のピント調整ができるので撮影がとても楽になりました。

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ヒカゲイノコズチの花序です。花は開花後花序に密着します。刺は種子の表面に下に向かって生えています。刺は元々花の小苞でした。

拡大します。

さらに拡大。それぞれの種子に2本の刺が生えているのが分かります。

さらに拡大。

 刺には逆刺がないので、衣服に刺さっても抜きやすいことは抜きやすいです。

2019.12.09.撮影
2019.12.09.記述


2019年12月6日金曜日

種子を広める:ひっつき虫たち

種子を拡散させるもう一つの方法に、人の着衣や動物の毛、鳥の羽根などにくっつく方法があります。ここでは近辺に見られるもののうち4種を、マクロ撮影の写真でまとめておきます。

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ひっつき虫の王者とも言えるでしょうか、オオオナモミです。河川敷などの荒れた土地に生えるキク科の植物で、衣服や髪の毛などへの獰猛なくっつきぶりに、困り果てた方も多いのでは。

素晴らしいかぎ型の大型フックがびっしり。先端がとがって、どのようなものでも触れたものを逃さない意志の強さを感じます。

一本一本をよく見ると、人がまねしたベルクロのフックよりも完成度が高いことがよく分かります。

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それに負けないのがキンミズヒキ。日陰に咲く黄色の花は鮮やかで美しいのですが、花が終わると本性を出してこのように変貌します。ミズヒキの名を持っていますが、ミズヒキのようなタデ科の植物ではなく、バラ科の植物。

このフックも完成度が高いです。

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ヌスビトハギです。これは在来種。比較的日当たりの悪い山陰などに生えています。外来種のアレチヌスビトハギの果実は、多い場合には6つの小節果から成るのに対して、こちらは大人しく通常2つの小節果から成るところが、奥ゆかしい。ですが、ひっつき度の強力さは変わりません。

側面からちょっと見にはフックがあるように思えないのですが...

正面から見ると、何やらもやっとしたものが生えているようです。

拡大します。

さらに拡大。

側面を拡大してみると、フックの生え方には余り規則性がないように思えます。とにかく、行き当たりばったり、触れたものにくっつく、ということでしょう。

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外来種のアレチヌスビトハギです。比較的日当たりの良い痩せた土地などに生えています。在来種のヌスビトハギに比べると花が大きくて、目立ちます。ですが、果実は衣服にびっしりとくっつき、しかもくっつく際に小節果がばらけるため、除去に大変苦労します。

ばらけた小節果の1つです。ヌスビトハギと同様に、表面に微細なフックが生えています。

フックの生え方は比較的規則的なようです。


縦位置から見たところです。在来種のヌスビトハギに比べてフックの密度が圧倒的に多いようです。これが、アレチヌスビトハギの生息域拡大に一役買っているのかもしれません。
2019.12.03.撮影
2019.12.04.記述



2019年12月4日水曜日

センダングサのヒミツ

センダングサは日本全国どこにでもある植物です。夏の終わりの花期まではあまり目立つ花ではありませんが、秋の気配が感じられる頃から黄色い花を咲かせます。黄色や白の花弁を広げるものもあります。

桂川近辺では、センダングサ、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、アメリカセンダングサなどを見ます。花はそこそこ可愛らしく、昆虫たちの蜜源としては貴重ですが、花が終わり果実ができると、これがとてつもなく厄介者。「ひっつき虫」の代表格です。

細かいトゲの生えた果実を、花火のように球形に広げて、人が通るのをを待ちます。衣服がいったん触れると、トゲが衣服の繊維に引っかかり、即座に剣山状態に。衣服でなくとも靴紐や鞄の止め紐にもびっしりとまとわりつくこともあります。体験された方も多いでしょう。

何がこのような効率の良い「ひっつき方」をさせるのかと、じっくり観察してみました。

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センダングサの果実です。待ち構えています。

拡大します。

さらに拡大。約1センチの果実の先端に2つあるいは3つの冠毛が生えています。

さらに拡大。冠毛には下向きに鋭い刺が生えています。一方で果実の方には逆方向、上向きの刺があります。

つまり、双方向に刺が生えているというのが特徴です。

別な果実を見てもまたしかり。

まるで銛のような鋭さです。これでは、どの方向からでも触れたものに「ひっつく」ことができます。いつ、どのようにこのような仕組みを発達させたのでしょうか。

2019.11.24.撮影
2019.12.01.記述


京北の林内探索

京北の樹木植物に詳しい方に案内していただいて、ホンゴウソウを探しに行きました。昨年枯れたものを見つけられたとか。目的の場所に行くと、Bingo!約20株ほどが集まって、周囲にもまばらに生えていました。ヒノキ林の林床です。そこから冬虫夏草探索に切り替え、ムシヒキアブのアナモルフ、ガ...