2019年12月6日金曜日

種子を広める:ひっつき虫たち

種子を拡散させるもう一つの方法に、人の着衣や動物の毛、鳥の羽根などにくっつく方法があります。ここでは近辺に見られるもののうち4種を、マクロ撮影の写真でまとめておきます。

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ひっつき虫の王者とも言えるでしょうか、オオオナモミです。河川敷などの荒れた土地に生えるキク科の植物で、衣服や髪の毛などへの獰猛なくっつきぶりに、困り果てた方も多いのでは。

素晴らしいかぎ型の大型フックがびっしり。先端がとがって、どのようなものでも触れたものを逃さない意志の強さを感じます。

一本一本をよく見ると、人がまねしたベルクロのフックよりも完成度が高いことがよく分かります。

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それに負けないのがキンミズヒキ。日陰に咲く黄色の花は鮮やかで美しいのですが、花が終わると本性を出してこのように変貌します。ミズヒキの名を持っていますが、ミズヒキのようなタデ科の植物ではなく、バラ科の植物。

このフックも完成度が高いです。

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ヌスビトハギです。これは在来種。比較的日当たりの悪い山陰などに生えています。外来種のアレチヌスビトハギの果実は、多い場合には6つの小節果から成るのに対して、こちらは大人しく通常2つの小節果から成るところが、奥ゆかしい。ですが、ひっつき度の強力さは変わりません。

側面からちょっと見にはフックがあるように思えないのですが...

正面から見ると、何やらもやっとしたものが生えているようです。

拡大します。

さらに拡大。

側面を拡大してみると、フックの生え方には余り規則性がないように思えます。とにかく、行き当たりばったり、触れたものにくっつく、ということでしょう。

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外来種のアレチヌスビトハギです。比較的日当たりの良い痩せた土地などに生えています。在来種のヌスビトハギに比べると花が大きくて、目立ちます。ですが、果実は衣服にびっしりとくっつき、しかもくっつく際に小節果がばらけるため、除去に大変苦労します。

ばらけた小節果の1つです。ヌスビトハギと同様に、表面に微細なフックが生えています。

フックの生え方は比較的規則的なようです。


縦位置から見たところです。在来種のヌスビトハギに比べてフックの密度が圧倒的に多いようです。これが、アレチヌスビトハギの生息域拡大に一役買っているのかもしれません。
2019.12.03.撮影
2019.12.04.記述



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