桑の実が熟す季節になりました。この季節になると、桑の葉や枝が真っ白になることがあります。犯人はクワキジラミの幼虫。「シラミ」という名前を聞いただけで身をひく人も多いでしょうが、この虫はウンカやヨコバイなどの親戚で、幼虫は木の樹液を吸って大人になる、人には(おそらく)きわめて無害な昆虫です。腹部の先端から白い蝋物質を幾状にも出して、これのため多数が繁殖していると、葉や枝に綿がまとわりついているように見えます。蝋物質を出す幼虫は、クワキジラミの他にもハゴロモの類、ハバチの類、そしてアゲハモドキなど蛾の類と多く、天敵から幼虫が身を守る手段として使われます。人と昆虫の出す蝋物質の関わりもあり、イボタロウ虫の出す蝋物質は古来からロウソク、家具のつや出し、滑りをよくするための塗布に利用されてきましたし、ぐっと身近なところではミツバチの出す蜜蝋があります。
このクワキジラミが発生すると、桑の木はそれを捕食する昆虫で賑やかになります。また、成虫が飛び出す頃には、ツバメの大群が押し寄せて、一日中樹下を飛び回る姿も見られます。「虫の出したものですって!」などと先入観からパニックらずに、落ち着いて興味を持って観察したいものです。
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今日の観察です。曇りだったのでちょっとコントラストが低めで見にくいですが...それに夕方だったので、虫が活動していなかった...言い訳が多いですが、クワキジラミの幼虫です。
ナナホシテントウのようです。