2022年5月16日月曜日

桑の木の上で:On the mulberry tree

桑の実が熟す季節になりました。この季節になると、桑の葉や枝が真っ白になることがあります。犯人はクワキジラミの幼虫。「シラミ」という名前を聞いただけで身をひく人も多いでしょうが、この虫はウンカやヨコバイなどの親戚で、幼虫は木の樹液を吸って大人になる、人には(おそらく)きわめて無害な昆虫です。腹部の先端から白い蝋物質を幾状にも出して、これのため多数が繁殖していると、葉や枝に綿がまとわりついているように見えます。蝋物質を出す幼虫は、クワキジラミの他にもハゴロモの類、ハバチの類、そしてアゲハモドキなど蛾の類と多く、天敵から幼虫が身を守る手段として使われます。人と昆虫の出す蝋物質の関わりもあり、イボタロウ虫の出す蝋物質は古来からロウソク、家具のつや出し、滑りをよくするための塗布に利用されてきましたし、ぐっと身近なところではミツバチの出す蜜蝋があります。

このクワキジラミが発生すると、桑の木はそれを捕食する昆虫で賑やかになります。また、成虫が飛び出す頃には、ツバメの大群が押し寄せて、一日中樹下を飛び回る姿も見られます。「虫の出したものですって!」などと先入観からパニックらずに、落ち着いて興味を持って観察したいものです。

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今日の観察です。曇りだったのでちょっとコントラストが低めで見にくいですが...それに夕方だったので、虫が活動していなかった...言い訳が多いですが、クワキジラミの幼虫です。


葉陰に潜むジョウカイボン。捕食者の1つです。

ナナホシテントウのようです。


こちらコメツキムシ。みな捕食者です。

大物、ハラグロオオテントウです。日本で最大級のテントウムシ。先に紹介したカメノコテントウとは、東西の横綱です。


もう一匹草むらにいました。なぜか細い草を抱いています。近くのナナホシテントウに来てもらって大きさの比較です。

顔を見ると、先の個体と比べて、この個体には目の部分に黒いバンドがありません。オスメスの違いでしょうか。

これは普通のテントウムシの幼虫。

これはハラグロオオテントウの幼虫。ゴジラかガメラか。比較するクワキジラミがいませんが、とにかくど迫力ですね。それにたらふく食べてぼてぼてに太っています。

Photos 2022-05-15

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