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2022年8月3日水曜日

ツマグロヒョウモンの産卵:Spawning of Indian fritillary (Argynnis hyperbius)

ツマグロヒョウモンの産卵は気まぐれです。普通、蝶や蛾は幼虫の食草(食樹)の若い葉に卵を産み付けることが多いですが、ツマグロヒョウモンは食草のスミレ以外の草に平気で卵を産みます。下の写真は今朝自宅前の芝地に産卵するツマグロヒョウモンですが、スミレにも産卵しますが、カタバミやシバの針のような細い葉にも産卵していました。幼虫のサイズを考えると、孵化直後に食草以外から食草に移動することは不可能と思うのですが、なぜそうするのか、推測すらできません。不思議です。

これはスミレに産んでいるようですが、

ここではカタバミに。

そして個々ではシバの細い葉に産み付けています。

Photos 2022-08-02


2021年9月22日水曜日

ツマグロヒョウモン

芝生の上にツマグロヒョウモンの終齢幼虫を見つけました。数日後近くのコンクリートの擁壁にそのサナギを見つけました。おそらくは同じ個体だと思われます。

ツマグロヒョウモンはスミレを食草としますが、親は必ずしもスミレに卵を産まず、他の草(ここでは多くの場合芝)に産卵します。孵化した小さな幼虫がどのようにしてスミレまでたどり着けるのかは謎ですが、この幼虫はスミレをすぐに食べ尽くして徘徊し、他のスミレの株を見つける徘徊するイモムシです。

幼虫は赤と黒の毒々しい色、多数の針のような恐ろしげな肉角を持っていますが、きわめて無害なイモムシです。サナギも幼虫に似て棘だらけですが、胸の部分に金色に光る鋲のような突起があり大変美しいです。

I found the last instar larvae of the tsumaguro hyomon, or Indian fritillary (Argynnis hyperbius), on the lawn. A few days later, there was its pupa on a nearby concrete retaining wall. It was probably the same individual.

Although violets are the main food plant of this species, the mother butterflies do not necessarily lay their eggs on violets, but rather on other grasses (in this case, lawn grass). How the tiny hatched larvae get to the violets is a mystery, but these larvae are wandering caterpillars that quickly devour the violets and roam around, finding other violet plants.

The larvae are seemingly venomous red and black in color, with numerous scary needle-like flesh horns, but in reality, are extremely harmless caterpillars. The pupa, like the larva, is covered with thorns, but is also very beautiful, with golden stud-like projections on its chest.

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photo 2021-09-18&20


2020年11月1日日曜日

小さな庭で:ベランダに来る昆虫たち

ベランダに咲く花にまだ蝶が訪れます。いつものウラナミシジミにくわえて、今日は新顔のナミアゲハとツマグロヒョウモンが来訪しています。

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今日のナミアゲハは新顔で、尾状突起までしっかりそろって、羽化してあまり日が経っていない個体のようです。朝は10℃を下回るような時もありますが、まだ羽化が続いていることに驚きます。

口吻を思い切り伸ばして蜜を吸っています。

この季節に蜜を出す花は貴重です。


百日草が好みのツマグロヒョウモンです。

芝生が切れる側溝に伸びた芝の茎にツマグロヒョウモンのサナギがあり、今日羽化していました。ツマグロヒョウモンは幼虫越冬ですが、これから交尾して産卵するのでしょうね。黒く見えるのが抜け殻です。


2020.10.26.撮影
2020.10.31.記述



2019年10月8日火曜日

観察記録:秋の野原に遊んで

A short walk on the riverbank takes me to a stretch of Brazilian verbena, or Verbena brasiliensis. Its flowers bloom till late autumn, providing honey seeking insects precious opportunity to suck on the nectar.

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秋の深まりと共に蜜源植物が少なくなりますが、この時期に、夏の休眠期間を終えて再び咲く花に、アレチハナガサの類があります。アレチハナガサ、ダキバアレチハナガサ、ハマクマツヅラ、ヤナギハナガサなど。いずれも野生種のバーベナで、いずれも今世紀に日本に到来した外来種です。日本の河川の河川敷に広く繁茂し、今ではセイタカアワダチソウなどと並んで、秋の風物詩になった感があります。

この花は、秋の終わりまで咲き続け、蜜を求める虫たちの貴重な蜜源となっています。

ベニシジミです。今は色の濃い夏型です。

ウラナミシジミです。ちょこっと出た尾状突起と一点さしたオレンジ色がチャームポイント。

イチモンジセセリです。食草がイネ科の植物で、かつては稲の害虫として悪者扱いされました。この時期にならないと見られません。セセリチョウの代表格。

先ほどのベニシジミの翼の表側です。春型は全体に色が薄いです。

ツバメシジミのオスのようです。シジミチョウは小さい上に敏捷で、しかも翼の表をなかなか見せてくれないので、同定が難しい場合があります。

ウラナミシジミの翼の裏表両方が見えます。

ヒメアカタテハです。食草はヨモギ。今年はこれを二頭卵から成虫にまで育てました。幼虫は巣を作ってゆったりした生活を送りますが、成虫はきわめて敏捷です。蛹が黄金色で実に美しい

翼の表が見えます。

シロオビノメイガです。

ツマグロヒョウモン(メス)も来ていました。

翼の裏側が見えます。

再びヒメアカタテハ。図鑑的写真です。

帰路に立ち寄ったガガイモの壁では、今年は豊かな実りが期待できます。


葛の葉にコムラサキが休んでいました。

口吻が黄色です。ゴマダラチョウなどと同じです。

 モンキチョウが交尾していました。

草原ではノビタキの姿が見えます。2週間ほど立ち寄って、南に下っていきます。

蝶やバッタたちはノビタキのエネルギー源になります。

 今年は河原の一部でノゲイトウの花園ができていました。

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さて、先日来育てていたアケビコノハが成虫になりました。2匹育てて、1匹は病死(あるいは寄生虫によるものか)。河川敷の茂みで自然に育って蛹になった2匹は寄生バエの犠牲になり、結局4匹のうちこの1匹だけが成虫になりました。

怒りんぼで、ちょっと刺激を与えると、飼育器の中で興奮して暴れまくります。これはリリース直前。かろうじて羽を広げた写真を撮ることができました。

美しい目玉模様です。木の葉への見事な擬態と共に自らを守る数少ない手段です。
2019.10.07.撮影
2019.10.07.記述



2019年9月30日月曜日

観察記録:試練を課す親たち:ツマグロヒョウモンの産卵

どうも腑に落ちないということがあるものです。ツマグロヒョウモンの産卵行動です。自宅の前に広がる芝生に所々スミレの株が生えていて、ツマグロヒョウモンが産卵に来るのですが、どう見てもスミレのないところに産み付けているようなので、よく観察してみました。

すると、スミレに産卵することもありますが、5回中4回は他の草、特に芝の葉に産卵しているようです。食草に産卵するのが蝶や蛾の常識と思っていましたが、これが覆りました。

調べてみると、ツマグロヒョウモンはスミレ類のある草地を選んで産卵するのですが、必ずしもスミレに生むわけではないので、幼虫は孵化した後、自らの力で食草までたどり着く必要があるとのことです。

確かにスミレは、パンジーやビオラのような園芸種でなければ、比較的広く薄く芝地などに広がっている場合が多く、先にも書きましたが、ノマド的な生活を送らねばならない幼虫にとっては、スミレを選んで産卵するということは余り意味がないのかもしれません。しかし、孵化しても数ミリの小さな幼虫に、ずいぶん過酷な試練を強いるものだと思います。

あるいは、その試練は、選りすぐれた遺伝子を残すための、この蝶の戦略かもしれません。

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ツマグロヒョウモンのメスです。産卵行動に入っています。ですが、卵を産み付けているのは芝です。

こちらは別の個体。やはり芝やカタバミに産み付けていました。

少し引くとこのような状況です。いったん産卵行動に入ると、結構深い草の中にも入り込み、身の安全には余り頓着しないようです。

産卵後、産み付けたとおぼしきところを探ってみました。

これは、スミレの葉柄に産み付けています。

これは芝の葉に産み付けています。

 こちらも芝の葉に産み付けています。

芝生のあちこちに二齢~終齢期の幼虫がいました。よくこうやって芝の葉に止まっている姿を見かけます。固く直線的な芝の止まり具合が良いのか、あるいは、食草を探しくたびれて、しばしの休息を取っているのか、その問いにはなかなか答えてはくれません。
2019.09.28.撮影
2019.09.29.記述



2019年9月19日木曜日

飼育記録:ツマグロヒョウモンの羽化

ツマグロヒョウモンのメスが羽化しました。これで4匹目だと思います。余りにも幼虫の数が多くて、飼育記録を整理し切れていません。

飼育してみると、蛹になったものは多いのですが、蛹の状態で死んでしまうものも多いことに気づきました。理由はよく分かりません。食草のスミレは土に近く生えており、泥で汚れたものも少なくありません。そのせいでしょうか。先に書いた2匹の蛹は双方とも羽化できずに死にました。また、通路で蛹化した3匹の蛹のうち1匹は羽化しましたが、残りの2匹はだめなようです。

蛹化に失敗して落命したものも2匹いました。幼虫の皮を脱ぎきれなかった状態では成虫にはなれないことがよく分かりました。蛹になることは生理学的にどのような意味があるのか、調べてみる必要がありそうです。

もう一つ気づいたのは、蛹の状態で死ぬと、背中にある金属光沢をしたスタッドのような突起が、金色から変化し、青みを帯びた銀色というか、七色の光を帯びるようです。幼虫の命の最後の輝きかもしれません。

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2019.09.16.撮影
2019.09.16記述



2019年9月12日木曜日

飼育記録:ツマグロヒョウモンは駆け足チャンピオン

今朝もメスのツマグロヒョウモンが羽化しました。大変美しい個体です。




この夏いろいろな蝶や蛾の幼虫を飼育することになり、新たな事実に気づきました。各々の蝶の特技です。

特技一覧
ツマグロヒョウモン:駆け足チャンピオン:とにかく足が速い。
オオスカシバ:葉化けが得意:毎朝探してもなかなか見つからない。忍者です。
ジャコウアゲハ:ユニフォームを脱がない:小さい頃から同じ模様です。
ヒメアカタテハ:巣を作って籠もります:安全第一、慎重派。

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ツマグロヒョウモンの早足には参ります。敷紙や餌を替えようと、ちょっと目を離した隙に逃げ出して、すたこらすたこら走ります。ちっちゃな赤ちゃんが四つん這いで走り廻るようで、可愛いです。

オオスカシバの擬態については以前も書きましたが、体側のくびれがクチナシの葉の葉脈のしわとそっくり。小枝にじっと止まると、背中がクチナシの青い枝そっくりで、毎朝掃除の度に数をカウントするのに難儀します。

アゲハの類は一般的に、四齢幼虫あたりまでは、鳥の糞そっくりの白黒模様ですが、それ以降終齢幼虫までは目玉模様の青虫になります。ところがジャコウアゲハは小さな頃から終齢幼虫まで、あのゴジラのような突起のある、黒+白+黒の模様を変えません。体内に毒を蓄えて、外敵にむしろ知られるようにしているからでしょうか。

ヒメアカタテハは今回初めて卵から飼育していますが、自然界でそうするように、巣を作ってその中に籠もっています。夜になるとそこから這い出てきて、周囲のヨモギを食べます。ちょっと用心深すぎるようですが、糞にまみれた巣は外敵から身を守るには格好です。

ツマグロヒョウモンが走る姿を録画しました。


2つのビデオをあわせると、20秒で33 cmは走っているようです。ということは、仮に1秒間に1.65 cmとして、1分間に99 cm(約1m)、1時間で5940 cm(約60メートル)、1日では142560 cm(約1.4キロ)ということになります。

実際にはそれだけの距離を一気に駆けることはないでしょうが、まばらにしか生えていないスミレを食草として彷徨しなければならないノマド的な生き方には、必須の能力であると思います。

2019.09.11.撮影
2019.09.11.記述

 


2019年9月11日水曜日

飼育記録:ツマグロヒョウモン:メスの羽化

先日来連続しているツマグロヒョウモンの羽化ですが、今朝は初めてメスの個体の羽化を見ました。メスは前肢の先端が黒く、それに続いて白い帯があり、とてもきれいです。

保護した幼虫は、過密状態になり、前蛹状態のものが他の幼虫に触れて落下し、蛹化できずに2匹が死にました。可愛そうなことをしました。それで、除草されたスミレの株がある程度復活してきたこともあり、昼に2匹を芝生に放ちました。夕刻見に行ったところ、当然ながら全く姿がなく、どうしているだろうと、さみしさ半分、心配半分ですが、これも自然界のこと、たくましく生きてくれることを祈りましょう。

通路のコンクリの壁に蛹化していた蛹3匹のうち、1匹が羽化し成虫になりました。蛹の色が淡いものと濃いものがあり、淡い方が成熟が早いようです。

一方で庭の樹木のケアに庭師が入り、クチナシの木にいたオオスカシバの幼虫を何匹か駆除したようです。そこで、夕方よく調べて、二齢、三齢、四齢幼虫とおぼしき3個体を保護しました。これでオオスカシバは現在、蛹2、前蛹1、幼虫5です。庭師がオオスカシバの幼虫を駆除するのは仕事ですから仕方ありません。連絡しておいて引き取るという手もあるので、考えてみます。

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飼育容器から顔を出したメスの個体です。蛹の時に翼になる部分が少し変形していて、気にかけていたのですが、完璧な成虫になりました。

ガラス戸に止まったところです。

羽を重ねるとオスとの見分けは難しいです。

いつものことですが、蝶には花が似合います。

拡大します。

この瞬間空に向かって飛び立ちました。露出オーバーですが、メルヘンチックな効果が出ました。
2019.09.10.撮影
2019.09.10.記述




池端で

買い物の帰りに遠回りをして池端の野鳥を見てきました。折からの寒波でこの冬一番の冷え込み。横殴りの風が吹く中の観察です。人の出がないので、日頃は隠れていがちな野鳥の姿を認めることができました。 ヒクイナです。 タシギです。 クイナです。 晴れ間に突然カワウの一群が飛び立ったと思った...