今日はぐずぐずと時雨れた一日でした。午前中の用事を済ませて昼食後有栖川沿いの樹木を観察に出かけました。そのメモ書きです。
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川沿いに生えていたオオイタビが伐採されたと聞きました。オオイタビは南方系のイチジクの仲間。つる性の植物です。京都では余り見ないので、時々観察に行っていました。
現場に着くと、元気に茂っていた株がなんとも無残な姿に。何でも近所の方が、「うっとうしいから伐ってくれ」と、たまたま府道の整備に来ていた業者に言ったそうで、それを受けて、業者がばっさり。
昨年は府の土木事務所が、
伏見区の運河沿いに生えていた絶滅危惧種のヤドリギを、これも近隣住民の「うっとうしい」という理由でばっさり。ニュースになりました。知識のなさか、配慮のなさか、愚かしく、情けないことです。
残っていた葉と果実の写真です。
無残な姿の切り株です。しかし、株がしっかり残っているのと、伐採時期が冬ですので、おそらく春には元気に芽吹いてくれると思います。
拾って来た果実を割ってみました。雌株に実った果実のようですが、中はがらんどうで、受粉していないようです。雌雄異株の植物ですので、雄株がないか、気候的に受粉しても結実しないのか。結実すれば直径5センチほどの大きな丸い果実になるようです。食べられるそうです。どんな味がするのでしょうか。
近くの公園ではマサキの実が熟していました。
クスノキです。今回は迷いません。
三行脈もきれいに出ています。
シラカシのようです。ここにもありました。アラカシに比べて葉が細く、繊細で上品な感じがします。
冬芽の拡大です。
近くに植えてあるのは、ヤマモモのようです。雄木です。
落下する果実や、果実を求めて飛来する野鳥を嫌って、大きな実を大量にならす樹木では、実のならない雄木を好んで植える事があります。イチョウなどはその代表格。一方でキンモクセイも日本にあるものが雄木ばかりなのは、雌雄異株の植物の雄木が、花を多くつけることから、花の多い雄木が好まれるようです。植物の世界ではsexistが多くても、文句を言う樹木はありません。
公園から出て川沿いに歩き始めると、とたんに樹木がわからなくなります。とにかく手当たり次第に植えたこと、野鳥が運んだ種が芽生えた木々が多いこと、などなどから。
これはなんだろう、と頭をひねっていると...
枝に白い実。ナンキンハゼでした。
これが枝の様子。この時期、落ち葉も結構朽ちてきていて、手がかりが少ないです。
となりの桜の木にセンニンソウの蔓がからまり、種が残っていました。今年は河川敷には少なかったのですが、町中に大きな株があるとは、意外です。
桜の花芽と葉芽です。なんの桜かはよくわかりません。ソメイヨシノとしておけば、ほぼ7~8割当たりでしょうか。
対岸にビワが咲いていました。この花は今が花期。地味系の花ですので、ついつい気づかないうちに花が終わってしまいます。
つぼみがまだあるので、咲いたばかりかと思いますが、それにつけても、地味ですね。ムシも来ないのに、冬に花を咲かせるメリットはどこにあるのでしょうか。
植物を折り取るのは好きではないのですが、いくつかの樹木が何の木かよくわからなかったので、短い枝を手折ってきたものが3種あります。冬芽の図鑑の写真と比較してみました。
これはエノキのようです。
これはムク。
鋭い爪のような冬芽が特徴です。
これはトウカエデのようです。人が近づけない場所で、木肌が街路樹のものとは異なり、推測はしましたが、確信は持てませんでした。
手がかりが少ない植物の名前を探るのは、なけなしの知識を試され、五感を駆使する"pure detective work"と言えますので、結構面白いです。
2020.01.18.撮影
2020.01.18.記述