マツグミが花を付けました。奇妙な植物です。松の木に寄生する半寄生植物、ヤドリギの一種です。宿主のアカマツが松枯れのために数を減らしているので、マツグミも稀少植物の仲間入りをして、『京都府レッドデータブック2015』では、準絶滅危惧種の扱いです。
最初に見たのは冬で、緑の枝に一見イチジクのような実がなっていました。赤色の花が7,8月頃に咲くと聞きましたので、ぜひ見て見たい、ぼちぼち時期だろうと出かけたところ、ちょうど良い具合に咲いていました。
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少し引いた位置から、マツグミの全体像です。このように赤い花が咲いています。
よく見ると、花は根元の緑色の部分が丸く膨れて、これが子房のようです。赤い部分はそれに続く部分。先端部分は細く、色は再び緑色になっています。
その細い先端部分が花びらでしょうか。開いてしべとおぼしきものが顔を出します。
拡大すると、その様子がわかります。中央にめしべの柱頭が飛び出て、その周囲を雄しべが囲んでいるようです。
異なったアングルから何枚か撮っておきました。
時々メジロが来ていました。ハチの姿は見えませんでしたので、メジロなどの野鳥によって花粉が媒介されるのかもしれません。アリによる媒介も可能性としては大いにあります。もう少し近づきたいのですが、地上4メートルほどの高い位置にありますので、残念です。他に個体がないかどうか、次回訪れた際に調べてみたいと思います。
なお、国内で見ることのできるヤドリギの類にはこのマツグミTaxillus keampferiの他に、ヤドリギViscum album subsp. coloratum、ヒノキバヤドリギKorthalsella japonica、オオバヤドリギScurula yadoriki、ホザキノヤドリギHyphear tanakaeがあります。マツグミとヤドリギ以外には見たことがないので、今後の課題とします。
2020.07.20.撮影
2020.07.22.記述
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