近年の植物分類学は、従来の形態的な特徴に基づく分類から、DNAの解析に基づく分類「分子系統学」に移ってきています。そのため、形態的に似ていても、分類学的には異なるということで、新分類体系が生まれています。これが、APG分類と言われるもので、APGとは、Angiosperm Phylogeny Group(被子植物系統グループ)という、この方法をとる植物学者の団体名から来ています。
APG分類は1998年に発表されました。また、それ以前のクロンキスト体系は1980年代に提唱され、さらにそれ以前の分類は形態的な特徴を重んじた新エングラー体系、さらにさかのぼるとエングラー体系、と呼ばる分類体系がありました。
図鑑で調べる場合には、1998年以前に出版されている植物図鑑などはAPG分類に基づいていないので、それを知った上で分類名を読まねばなりません。このブログで何度か言及したガガイモは、クロンキスト体系では、ガガイモ科に属していましたが、APG体系ではキョウチクトウ科に移されました。もっとも図鑑によっては、1998年以降の出版でも、編集作業の都合で、APG体系に基づいていない場合もありますので、古書で図鑑を購入する際には、その図鑑がどの体系に基づいているのか確認する必要があります。
それにしても、人間の知識と直感に基づいて、これは〇〇である、と言えないのはさみしい気がします。また、植物を分類するのに、植物の姿形や生育環境も調べることなく、植物体から採取した一片のDNAを分析して、その植物を知ったつもりになることの危険も感じざるを得ません。
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さて、昨日書いた御苑のきのこですが、帰り際にサルノコシカケの仲間を見つけました。これは従来ならば、コフキサルノコシカケと呼ばれていたものですが、上記のAPG分類と顕微鏡による胞子の大きさの研究で、現在では北方系のコフキサルノコシカケに対して、オオミノコフキタケと呼ぶのが正しいようです。
底は管孔という微細な孔が空いていて、そこから季節になると胞子を放出します。
一年に一襞成長するらしいので、このきのこは、数えると約30年以上ここで成長しているようです。
拡大すると、無骨ながらも、どっしりと生きてきた年輪が刻まれているのが分かります。
2019.11.10.撮影
2019.11.11.記述
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