2019年6月7日金曜日

イヌドクサ(あるいはイヌスギナ?)

河川敷にトクサに似た植物が生えています。どうやらイヌドクサらしい。「ドク」と聞くと、「毒」を連想してドキッとしますが、「ドクサ」はトクサのことです。

トクサは漢字では「砥草」と書きます。「砥」は「砥石(といし)」のことで、刃物などを研ぐ平たい石のことです。砥草はイネ科の植物で、表面にイネ科植物に特徴的なガラス質の細胞体(プラントオパール)をまとっています。乾燥した砥草は、きめの細かいサンドペーパーとして利用され、様々な木工品の仕上げ磨きや、特に漆器を塗り重ねる際に、乾いた漆を研ぐために用いられていました。

前置きが長くなりましたが、このイヌドクサはそのトクサの野生版というか、小型版で、茎も細く、湿気のある土地を好んで映えます。形ばかりでなく、胞子嚢穂を茎の先端部につける点でも、ツクシを胞子茎として出すスギナとは異なっています。一方で、枝別れしないトクサと異なり、スギナのように分枝することもあります。



2019.06.06撮影

今の季節は、その胞子嚢穂が成熟する時期ですので、収穫して顕微鏡で見てみました。顕微鏡下ではツクシと全く同じに見えます。胞子1個につき4本の筋が巻き付いていて、これが乾燥するとはじけるように広がり、湿ると胞子に巻き付きます。これで胞子嚢から外に広がり、風に乗って拡散するのでしょうね。繰り返すと不思議なダンスのようです。


2019.06.01撮影



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