2020年1月2日木曜日

河畔散策:種子と冬芽と葉痕と

元旦の河畔を散策しました。今月半ばに冬越しの植物と野鳥の観察会がありますので、その下見を兼ねています。秋の終わりまで花をつけていた草たちもすっかり枯れ果てています。わずかにセンダングサの黄色、アカツメクサの赤、ヒメジョオンの白が残っているところがあります。そのほかは種を散らすか、冬芽でしっかり身支度を調えていました。

植物学者の田中徹氏が、『花の果て、草木の果て: 命をつなぐ植物たち』として、秋に枯れ果てた植物の写真集を出しておられますが、使命を果たした植物の姿と、次の季節に命をつなぐ植物の姿がここにあります。

曇天夕刻の撮影で、グルーミーな写真になりました。

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ネコヤナギの冬芽です。冬芽を覆っている葉柄部分がまだ残っています。今年は嵐山下流のネコヤナギが河床掘削でほとんど失われたので、この株は小さいですが、貴重です。

ノイバラの実です。この季節野鳥たちの大切な食料です。見た目にもとても鮮やかできれいです。

 真っ赤になる前のノイバラの実も、グラデーションがきれいです。

これはセンダンの葉痕と冬芽。大きな葉なので大きな葉痕が残ります。

これはアカメガシワの冬芽。冬芽は分厚いオーバーコートを着たよう。一方で葉痕は平凡で面白みに欠けます。

ヤブマメのサヤ。サヤは乾くにつれて強くねじれて力をため込み、その力があるとき一気に解放されてはじけ、種を飛ばします。豆類の多くに共通した種子散布の方法です。

 セイタカアワダチソウの成熟した穂です。

 実ったヨモギの花序。これほど枯れてもしごくとヨモギらしい香りがします。

これもそうです。

ダキバアレチハナガサの枯れた花序です。株や茎は生き残り、来年の春に芽を出します。

ヒロハホウキギクです。花は小さく繊細で、カスミ草を思わせます。

カゼクサ。昨年はこれでベランダを掃くほうきを作りました。屋外で使うにはちょっと腰が弱かったです。

ヒメムカシヨモギのようです。オオアレチノギクとの区別がなかなかつきません。

これが何の葉痕と冬芽かちょっとわかりません。灌木です。桑ではないようですが...

これはおそらくオオエノコロ。

こちらはキンエノコロ。

アカザだと思います。たぶん。

 花序です。

拡大します。

兼好法師の『徒然草』には「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは....」とありますが、一見なんの面白みもない枯れ野の観察は、わずかな手がかりをもとに身元を探す探偵の心持ちです。

2020.01.01.撮影
2020.01.01.記述



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