2021年7月24日土曜日

イチモンジカメノコハムシ:

イチモンジカメノコハムシは前胸と前翅の周辺が板状に広がっていて、半透明な円盤を形成しています。これは、いわば昔の日本の家庭にあった金だらい、あるいは、セルバンテスの『ドン・キホーテ』で、騎士を気取ったドン・キホーテが「兜」として奪い取った床屋の金だらい様のものです。その真ん中にやや扁平な昆虫本体がはまり込んだような形になっているというわけです。自分の世界に籠もってなかなか顔を出さないところも、昆虫界のドン・キホーテと言えるかもしれません。

その円盤は一見ツルツルの表面をしているようですが、拡大してみると、微少な凹点が多数ある、一種のディンプル構造であることがわかります。このような微細な構造は防汚機能を持つことが知られており、甲虫の固い殻の表面や、土中に潜って蛹化する蛾のサナギの表面などに見られます。こういった生物の構造や機能を人工物に応用する目的の学問は「生物規範工学」と呼ばれます。英語ではbiomimetics。ドン・キホーテの金だらい兜はピカピカに光っていたそうですが、生物規範工学をおうようすれば、さらにピッカピカに光った兜になったかもしれません。

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イチモンジカメノコハムシです。鳥の糞に擬態していると言われています。

何が「一文字」なのかはよくわかりませんが、翅鞘にある茶褐色の模様(尾部の方)が一文字に見える(見えますか?)からのようです。

半透明の殻をよく見ると、微少なくぼみが多数あります。

また、中央から外側部分に流れるように付いた溝もあり、なかなか複雑な構造をしています。

2021-07-22 撮影

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