2018年3月1日木曜日

オオイヌノフグリ

午前の散歩で土手の斜面にオオイヌノフグリの群生が、陽光を浴びて輝くような青色の花を咲かせているのに気づいた。この植物の命名は、かの牧野富太郎博士だそうだが、彼はそのほかにも、ハキダメギク、ヘクソカズラなど、命名された植物には気の毒なような名前をつけたとされる。

しかしながら、イヌノフグリの名前そのものは、江戸時代中期の『物品識名(ぶっぴんしきめい)』や『草木図説(そうもくずせつ)』に登場するという。明治時代初頭に欧州原産のタチイヌノフグリが現れ、しばらく後にオオイヌノフグリが現れたと聞く。江戸時代からイヌノフグリの名前があるのならば、牧野富太郎博士のみに命名の責任を負わせるのも若干気の毒な気がする。

日本のオオイヌノフグリの学名は、Veronica persicaで、科名と属名は現在オオバコ科コマノハグサ属となっている(新エングラー体系やクロンキスト体系などの旧分類では、ゴマノハグサ科、クワガタソウ属となっていたが、遺伝子解析に基づいた新分類によって現在の分類となった)。Veronicaは例の聖骸布伝説の「ヴェロニカ」、persicaは「ペルシャの」の意味。この種の原産地は中央アジアのイランあたりらしい。英名はBuxbaum's speedwellである。

イギリスではイヌノフグリの仲間を一般にspeedwellと呼ぶ日本のオオイヌノフグリに似た花でGermander speedwell Veronica chamaedrysWall speedwell Veronica arvensisそしてGreen field-speedwell Veronica agrestisがあるということだが図鑑の挿絵を見ると日本のものとは若干異なっているように思える日本のものはやはりペルシャあたりから来たと言うことか

英名のspeedwellの意味については諸説あるが英国に限るとこの草の薬効成分が傷によく効くことspeedはhelpを意味することからあるいはこの花を摘むとすぐに花びらが落ちてしまうことから"speed well"は別れの言葉"farewell"あるいは"good bye"を意味する付けられたとの説があるまた森の空き地に鮮やかに咲くこの花の美しさを鳥の目の美しさにたとえてbird's-eye speedwell や blue bird's eyeとも呼ぶそうであるこのことからもしこの花を踏みにじると小鳥たちが復讐して踏みつけた人の目をつつきに来るという迷信もあるという

「ふぐり」については、その実の形から来たものであろうが、英語ではこれを上下逆さまに見て、"heart shape"と、ハート型と理解しているのが面白い。


写真は出直して、曇り始めた午後に撮ったため、閉じかけています。

ロゼットは成長の勢いを秘めて、春を待っているようです。

by harusan



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