2018年3月2日金曜日

イヌノフグリの謎

イヌノフグリについては、滋賀県立大学の高倉耕一氏が、「在来種 外来種避け変化?」(朝日新聞朝刊2015年6月18日)の記事で、在来種の「イヌノフグリが、外来種のオオイヌノフグリの勢力拡大に伴い、生息場所や種子の付け方を変えた可能性がある」としている。高倉氏によれば、オオイヌノフグリが生えていない瀬戸内海のイヌノフグリと、両方の種が生えている本土の土地のイヌノフグリを比較したところ、前者は地面に広がって生え、咲き終わった花を下向けにしているが、後者は咲き終わった花は上向きだったという。「島では種を地面に落としていたが、本土ではアリに別の場所まで運んでもらうのではないかオオイヌノフグリの影響を避けるために生態を変えたと考えられる。」また、人工的に両方の花粉を一緒に受粉させたところ、イヌノフグリは付けた種子の数が約7割に減ったが、オオイヌノフグリはほとんど影響を受けなかった、オオイヌノフグリの花粉がイヌノフグリが種子を付けるのを妨げていると考えられる(繁殖干渉)とある。

植物があたかも意思を持つように自ら変化することがあるのだろうか、「変化する」という表現には若干違和感を覚えざるを得ないし、上向きにしろ下向きにしろ、エライオソームが付いている種子を、植物体を自由自在に這い回るアリが見つけることは、実の向きとは全く関係ないと思われるのだが...

ウチの庭で発見したイヌノフグリであるが、これは、実を下につけている。ということは、これは瀬戸内海のイヌノフグリ同様に在来種本来の性質を残したものだということだろうか。謎は深まるばかりである。


by harusan



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