2019年6月22日土曜日

雑穀の秋

麦秋という季語があります。麦の穂が黄金色に実り、収穫期を迎える初夏の頃で、梅雨に入る直前の比較的乾燥した季節のことを言います。麦の栽培は滋賀県などでは行われていますが、ここ京都では、一面黄金色の麦畑というのは、ほとんど目にしません。たまに農家が畑の隅に小麦をまいてそれが育ち、麦の穂色づきに気づくくらいです。

しかしながら、この季節何気なく見ている堤防が、ふと気づくとそれと知らない間に黄金色になっています。主役はネズミムギ、カラスムギ、オオスズメノヒエなど、様々な単子葉植物の実りです。これらの植物は多くが牧草として明治以降に畜産増進のために導入されたもの。それらがいつの間にか全国津々浦々の河川敷や野原に広がったものです。

なかでもネズミムギは、冬の寒い頃から青々と茂り始め、春の日差しと共に、大きな緑の玉がふくれるように伸びてきます。カラスムギも暖かい南向きの斜面では、ほぼ通年独特の形をした花穂を伸ばしています。それら春先から伸びてきた単子葉植物が、初夏を迎えて一斉に実りの時期を迎え、堤防を黄金色に染めているというわけです。

人間にとっては雑草が雑草の種をまく、ということで迷惑千万かもしれませんが、野生動物たち、特に鳥たちやネズミなどの小動物たちにとっては、これ以上ない恵みの時です。一目で見渡す河川敷だけでも、いったい何トン、何十トンの穀物が取れることでしょうか。まさに雑穀たちの豊穣の秋の景色です。

堤防一面、秋の景色です。茶色く見えるのはスイバの穂。実った種がぎっしり並んでいます。

背は低いですが、びっしりと生えそろい、実っています。

コンクリート斜面に落ちた種です。ネズミムギ?が多いです。

こちらはカラスムギ主体です。折れ曲がったノギが特徴的です。

この画面だけでも気が遠くなりそうな数の実が散っています。
小動物は歓喜してこれを見るでしょうね。
 2019.06.20撮影



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