2019年7月23日火曜日

ジャコウアゲハ(その7)前蛹発見

ジャコウアゲハの幼虫一匹が前蛹になりました。前蛹とは幼虫が体を固定して蛹になる準備が整う状態のことです。木の枝や支柱に丁寧に糸を吐いて足場を作り、背中に糸を何度も回して太い糸を作ります。尾の部分はベルクロのような仕組みになっているようで、それで尾部を固定して、背中の糸に体を預けた状態で蛹となります。

前蛹直前に幼虫は食事を止め、しばらく所在なく動き回った後、大きな下痢をして、それまで体の中にあった糞と未消化の葉をすべて一気に体外に排出します。その後さまよいながら蛹となるべき場所を探し求めて、納得した場所を見つけると、上記のように体を固定します。

幼虫の歩く距離ですが、短足のイモムシだから大した距離は歩けないはず、などとバカにできません。五齢幼虫は1秒に1ミリ動くことはいとも簡単なことですので、仮にそのペースで歩いたとして、1分で6センチ、10分で60センチ、1時間ですと、何と3.6メートルにもなります。倍速ならば7メートル超。むろん障害物を乗り越えて、休み休み動くでしょうから、このペースでは無理でしょうが、それでも一晩かけるとなると、相当な距離を移動することが考えられます。

実際ナミアゲハの幼虫がユズやキンカンの木を離れて、家の軒先やベランダの天井に蛹化しているのを、昔はしばしば見かけました。

庭で前蛹化した個体は、幸いなことに今回はとなりのあじさいの葉の裏に止まっています。

拡大します。

頭部を拡大します。幼虫が吐いた糸は黒色です。頭部には上半身を支える太い糸が見えます。糸の根元は糸が吐き重ねられていて、黒く見えます。

前蛹の尾部です。こちらも糸が吐き重ねられているのが分かります。ジャコウアゲハは、蛹化するのに、ガードレールなどの人工物を好む傾向があります。秋の終わりに蛹化した蛹は、そこで一冬寒風にさらされながら越冬します。ガードレールはペンキ塗装されており、通常粘着テープでもそう長くは持ちこたえられないように思います。そこを約4,5ヶ月耐えてはがれないこの絹糸の土台と支えは相当強靱な構造物と言えます。
2019.07.17撮影
2019.07.19記述



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