準絶滅危惧種ということで、ひ弱な植物を予想していたところが、この植物は、なかなかしたたかで生命力が強いことに気づきました。レッドデータブックにも記載があるように、結実率がきわめて低いのは事実です。その受粉の仕組みについては以前に書きましたので省略しますが、結実について自宅での栽培から言えることは、ジャコウアゲハの貪欲な食欲によって、結実する暇がないというのが事実です。ジャコウアゲハは食事のマナーが悪く、つぼみや実り始めた実などもワシワシ食べます。
増えにくい植物だと思っていましたが、2年目の今年、植えた場所から30~50センチ離れたところにひこばえのような新芽が次々に生えてきました。地下茎で増えるのでしょうか。どこに地下茎があるのだろうと、丁寧に地面を掘っても、地下茎らしい地下茎がないので不思議ですが、種がだめなら株で、というしたたかさがあるようです。
もう一つは、刈り取られた後の復帰の早さです。ウマノスズクサの生えている堤防は、年に2,3回国交省が刈り払い機で丁寧に草刈りをしますし、地元の方も通行の邪魔になる車道付近の草を刈ります。ウマノスズクサも一緒に刈られてしまいます。ところが、他の草がまだ生えてこないうちに、ウマノスズクサはすらりと芽を伸ばして陽光をたっぷり受け、伸びていきます。
株で増え、刈られてもいち早く立ち上がる、なぜこれが準絶滅危惧種か、と思わないこともないですが、実際に観察してみると、ウマノスズクサの生えている場所はかなり限定されています。何か生育に適した条件があるのでしょう。また、草刈りが頻繁に行われると、数年で根絶やしになるのも事実のようです。
ほんとうは結構したたかな生命力を持つウマノスズクサ。一度「馬の鈴」に似ているというその実を見てみたいものです。
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草刈り後にいち早く芽を伸ばすウマノスズクサです。ジャコウアゲハが喜びます。
2019.09.16.撮影
2019.09.16.記述
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