2020年1月7日火曜日

植物探偵団:植物を同定する

昨年の4月に時間のゆとりができてから、植物の名前を少し気合いを入れて覚え始めました。昨年末からは「樹木調査」と題して有志の方々と近辺の樹木を同定し始めました。開始した時期が冬ですので、葉は落ちる、実は食べられる、花は咲かない、で苦労していますが、特に急ぐこともないので、楽しみながらぼちぼちやっています。

周辺の樹木はだいたいわかるようになってきたのですが、時々頭をかくようなものがあります。そのようなものを苦労して同定してみてはじめて目の付け所がわかることもしばしばです。また、名前も覚えます。

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写真はその一つ。内部が枯れてうろになった桜の古木の中から若い木が生えています。桜の枝が邪魔になり、雑草も生え放題だったので、近寄れずにいましたが、何の木だろうと気になっていました。

葉も相当傷んでいたのですが、今回比較的きれいな葉を手に入れて同定を試みました。常緑樹です。

冬芽は鱗片に覆われて固くしまっています。

よく見ると葉にクスノキ科の特徴である三行脈が走っているようですので、もんでみると、かすかにそれらしい芳香がします。クスノキ科のようです。しかし、クスノキにしては葉が細いし、枝や芽が赤い。また、いわゆる「ダニ室」と言われる葉脈の付け根の膨らみもありません。図鑑の写真と見比べる限り「イヌガシ」がもっとも近いものなのですが、イヌガシの葉柄はこれほど長くありません。

図鑑には、イヌガシの幹はなめらかであるとの記述があります。幹も同定の手がかりとして大切ですが、確認し損なっていました。奥まっていてわかりにくかったのです。そこで改めて後日確認すると、ざらざらしていて、ひび割れています。

これはあきらかにクスノキの木肌です。そう言えば30mほど離れたところにクスノキの大木が一本生えています。その種が運ばれて生えたのでしょう。そのクスノキを見ると、冬だからでしょうか、枝や葉柄、冬芽が赤みがかっており、また葉の形もこれに近いものがあります。葉の香りも、樹液の上がらない冬だからでしょうか、弱いです。

ということで、これはクスノキである、と結論づけました。拍子抜けするような結論です。

しかし、今回の同定で、いろいろと学びました、

1)実生の場合、まず周囲を眺めて類似した樹木がないかを確認する
2)植物の葉の形は成長の度合いと部位などによって変化することに注意する
3)季節によって枝や葉柄、芽の色も変わることに注意する
4)季節によって葉の香りの強弱があることに注意する
5)樹木は、葉、枝、幹、花、実など総合的な情報を集めて判断する

ということでした。勉強になりました。

2020.01.03. & 2020.01.06.撮影
2020.01.06.記述




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