ウバユリの果実を入手しました。ウバユリはユリ科ウバユリ属に分類される植物で、日当たりの良い森林によく生育します。通常よく見るテッポウユリやオニユリなどと異なり、根本近くから卵状心形の大きな葉が多数出て、長い茎の先端にま横向きの花を3~6ほどつけます。その後楕円形の果実をつけますが、この果実は皆ま上向きに成長し、熟すと3裂して中の種を飛ばします。果実の作りが少し面白くて、それを写真に撮りました。
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裂開した果皮は完全には開ききらず、果皮から出ている繊維によって格子状の網で繋ぎ止められています。そこからは2列ずつ整然と並んだ種子を見ることができます。種子は極薄で、さらに薄い翼を全周に備えています。風で舞い飛び拡散する種子です。
果実が完全に開ききれば種子の散布はたやすいと思われますが、わざわざ格子を組んで飛び出しにくくしているのにはわけがあります。それは、わざと飛びにくくしていることで、一気に種子が拡散するのを防いでいること、もう一つは、強い風が格子を通して吹き上げ、種子を遠くへ飛ばしてくれるのを待つことです。
実際にウバユリの種子は、果実の上部のものは弱い風にも飛びますが、下部のものは木枯らしのような強い風でなければ舞いません。このように、段階的に、かつ近くへまた遠くへと、まんべんなく種子を散布しようという、したたかな策略が見て取れます。
2020.02.02.撮影
2020.02.02.記述
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