2020年5月2日土曜日

モンシロチョウの蛹化

モンシロチョウには郷愁をかき立てられます。子供の頃の虫取りでチョウチョと言えばモンシロチョウ。祖母にはキャベツ類の害虫でしかなく、素手でひねり潰していました(私はこれが未だにできない)が、比較的ゆっくりと飛びどこにでもいるモンシロチョウは駄蝶とは言いませんが、格好の捕獲対象でした。

春と言えば菜の花畑。アブラナのむせかえるような菜の花の香りに包まれて、じっとしていると、ハナアブ、ミツバチ、モンシロチョウなどが次々に現れて蜜を吸いに来ます。私にとっては、春の原風景はフクジュソウでもなく、カタクリでもなく、カタクリに来るギフチョウでもなく、菜の花とミツバチとモンシロチョウです。

そのモンシロチョウを卵から育てることになりました。事の始まりは、ツマキチョウ探しから。ツマキチョウは育てたことがないので一度卵から育てようと、セイヨウカラシナのこの辺に産み付けた、とおぼしき枝を切り取って帰宅。葉裏にはツマキチョウかモンシロチョウかよくわからない卵がいっぱい。それを飼ってみることに...

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葉裏に産み付けられた卵です。モンシロチョウのものと似ています(それもそのはず、この卵は結局モンシロチョウであることがわかりました。後日談です。)。総計10個あまりありました。高さは約2ミリ。2020.04.16.撮影





 2日後に幼虫が孵化しました。すでに卵の中から出ています。こちらに頭を向けています。 2020.04.18.撮影

体を起こして卵の殻を食べ始めました。卵の殻は、多くの蝶の幼虫にとって、最初に口にする食べ物です。2020.04.18.撮影

小さいながらも、歯が見えます。これで卵の殻、やがてセイヨウカラシナの葉を食べます。2020.04.18.撮影

拡大します。赤く見えるのが歯です。2020.04.18.撮影

10分ほどでかなり食べ進みました。2020.04.18.撮影

これがその2週間後の姿。蛹化するために体を固定しています。2020.04.30.撮影


一昨日、昨日とすでにサナギになったものもいます。昨年ジャコウアゲハやオオスカシバ、ホシホウジャクなどを育てたので、あまりの小ささに驚いています。



 モンシロチョウは滑りやすいキャベツやアブラナの葉を食べるせいか、体が滑り落ちないように、前進する際に口から吐いた糸で歯の上に横8の字を書くように進路に糸の道を作ります。水槽の壁面にはそのような糸道が幾筋も見えます。また、上部に見えるセイヨウカラシナの茎の上には体を固定しないで、必ず飼育容器の側面で蛹化の準備をします。これは今回育てた11匹すべてに当てはまります。12匹いたのですが、最初から少し育って大きかった幼虫は2日前に寄生蜂の幼虫が体内から出てきて死んでしまいました。

同じ時期に産み付けられた卵も野外では全く育っていません。産み付けられた翌日に見に行くと、痕跡すら残っていません。おそらくテントウムシなどの捕食者が卵の段階から食べてしまうと思われます。生存の確率はきわめて低い厳しい世界です。

2020.04.30.記述




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