参加したのは植物コース。植物コースと言っても、野鳥と昆虫を含む観察です。閑院宮邸跡を起点に、宗像神社までのごく短いコースでしたので、暑さを除いては、体力的には全くOKでした。以下、学んだ事、調べたことのうち、モッコクに関することをメモ書きしておきます。
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モッコクは日本、朝鮮半島、台湾、東南アジアからインドに至る海沿いの土地に分布している木。樹形が整い風格がある、ということで、庭木として人気があります。特に関東で好まれた木のようで、以前国分寺にある岩崎彦弥太別邸の庭、現在の殿ヶ谷戸庭園を訪れたときに,アプローチから整然と並ぶモッコクの木が美しく、印象的でした。渋い、通好みの樹木と言えます。
葉は厚いクチクラ層に覆われています。クチクラは英語ではcuticleであることを、今回の自然教室で初めて知りました。髪の毛の表面を覆うあの鱗状の物質です。平凡社世界大百科事典では「角皮,キューティクルともいう。生物体の体表(動物では上皮細胞,維管束植物では表皮細胞からなる組織)の外表面に分泌される角質の層の総称。」と定義されています。さらに調べてみると、cuticleはもともとラテン語のcuticlaに由来し、この語はさらにcutisから来ており、これは「皮」という意味になります。
モッコクは葉や花の形態学的特徴から、従来はツバキ科に分類されていましたが、近年の遺伝子解析により、現在APG分類では、モッコク科に分類されています。モッコク(木斛)の名前は、着生蘭の一種セッコク(石斛)の香りに似ていることから付けられたようです。雄木と雌木があり、雌木にも雄木の雄蕊の痕跡が見られることもあるとか。花が咲いた後はツバキに似た小さな実ができますが、この実が野鳥たちの大好物で、キビタキ、コサメビタキ、ルリビタキなどが日本を離れる前の体力を付けるためによく立ち寄るということです。昆虫など肉食専門と思われるコゲラもこの実を好んで食べに来るということでした。
この日のモッコクはすでに花期を過ぎていたので、下の写真は7月5日に撮影したものです。雄木の花だと思います。
2020.07.05.撮影
2020.07.19.記述
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