2020年7月26日日曜日

カラスウリの花

 Flowering of Japanese snake gourd
今年もカラスウリの花の季節になりました。河川敷のそこここに、カラスウリの蔓と花殻を見ます。カラスウリは、日没後に開花し、明け方にはしぼんでしまいます。日中に見ることができるのは、蕾と花殻だけです。

桂川近辺で見られるカラスウリの仲間としては、カラスウリとキカラスウリがあり、前者は冬に地上部が枯れ、塊根で冬を越しますが、後者は地上部が一部枯れずに残る多年生草本です。これも大きな塊根を作りそこに養分を蓄えて冬を越します。

キカラスウリは『京都府レッドデータブック2015』では、「要注目種」となっています。「人里近くにはえるが、府内ではまれである。」「雌雄異株であり、維持には一定の個体数が必要である。」を理由としています。

キカラスウリは、数年からおそらく10年以上生きると思われます。数年前の台風の際に樹齢80年ほどのムクノキの古木が倒れ、全体を覆うように成長したキカラスウリの古株も共に倒れて無残でした。何とか救えないかと手立てを尽くしたのですが、蔓が根元からねじるように引き裂かれて、ムクノキも処分されることになり、手の施しようがなく、残念でした。

その蔓は驚くほど太く、根元近くの部分で
直径は間違いなく8 cm以上ありました。さらに驚いたのはその蔓が、木本とは異なり、しなやかさを保っていたことです。ちょうどゾウの鼻に触るような暖かさと柔らかさを感じました。根元の土の中には大きく肥大した塊根が多数、蔓から引きちぎられて埋まっており、これも無残でした。塊根を幾つか持ち帰り植えてみたのですが、塊根そのものからの芽生えはありませんでした。

さて、カラスウリに話を戻しますが、子供の頃、家の柿の木にこのカラスウリが一株絡んで、夏になると毎晩花を咲かせました。秋になると赤い実を見たと記憶していますので、おそらく雌株だったのでしょう。

今でこそ、カラスウリの花の開花を観察するために、わざわざ出かけることもありますが、当時街灯もろくにない田舎町で、夜の闇にぼおっと浮かぶカラスウリの花は、子供心に何か亡霊を見るような気がして、薄気味悪く、夕方に花を確認するたびに、棒でたたいて落としていました。カラスウリにしてはさぞかし迷惑だったことでしょうね。

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ここは一面の雄花ばかりの群生です。カラスウリの蔓は、秋に地面に向かって伸び、地面に触れると根を出して新しい塊根を形成して栄養繁殖を行います。それで、雄株だけでも年を経ると数百の花を咲かせる大群落に成長します。雄花も雌花も萼筒がとても長いので、奥の蜜に口吻が届く、夜行性で大型のスズメガなどが受粉を媒介する送粉者となります。

この日はウリハムシの類(クロウリハムシ?)が花にアクセントを添えていました。

2020.07.23.撮影
2020.07.25.記述


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