2020年7月7日火曜日

Nomenclature and Political Correctness (命名法と政治的公正性)

御苑のきのこ会に参加してきました。梅雨の長雨で成長したたくさんのキノコが見られました。一方で参加者が多く、ピーク時(出入りは自由ですので)には60名を優に超えていたと思います。キノコの観察はどうしてもお互いの距離を保ちにくく、また、スマホなどで近距離から写真を撮る方が多くて、観察者が密集しがちです。

マスク着用者がほとんどでしたが、途中から暑さのため外す方もあり。当方としては三密を避けるべく、できるだけ遠くからの参加を心がけ、メモをしっかり取って、写真を撮る際には証拠写真に徹し、後日の再訪に備えてスマホにトラッキングソフトウェアを起動しておきました。近日中に再度じっくりと確認したいと思います。

解説のお話の中に、近年のDNA解析により、キノコの分類や学名がかなり変わってきていることがありました。また、和名に時に差別的な名前などが残っている場合があり、それも合わせて改訂しているということでした。調べてみると日本菌学会では、すでに2008年に「日本菌学会推奨和名の決定についての手順」というガイドラインを出しており、その中に、

7 .和名をつけるにあたっては,故意に差別用語や不快な印象を与えるような単語を使うべきではない.

という一節がありました。日本でもようやく浸透してきたPC Movement(PC=Political Correctness(政治的公正性:何か馴染めない訳語ですね))は、菌類学会では比較的早く、少なくとも規定はできていたようです。

キノコの場合、何がそのような名前に当たるのかよくわかりませんが、「ニセ...」や「...モドキ」の名前を結構目にします。類似したキノコとの重複を避ける意味で付けられたのでしょうが、いささか罪な名前です。

草本でも、昨日書きました「ママコノシリヌグイ」など、植物での差別的な名前としてやり玉に挙げられそうな気がします。牧野富太郎氏が命名した「ハキダメギク」や「ヘクソカズラ」もそのうち改名される日が来るのでしょうか...あるいは歴史的な価値があるということで、殿堂入りを果たすのでしょうか。

*****

今日一番のお気に入り、マツカサタケです。DNA分析の結果、このキノコはベニタケ目に分類されることになったそうです。外見はどちらかというとマンネンタケに似ているようですが。傘の形もハート型。

このキノコの特徴として過年の柄から当年の子実体が生えてくることがあるそうです。今日観察したものも、帰宅してじっくりと写真を見ると、側面の写真から判断して、どうも下半分の黒い部分が古い子実体に見えます。3年連続して生えてくることもあるとか。

傘の裏はハリタケのように針状になっています。これも特徴です。

拡大します。

キノコも底なしのディープな世界ですので、関心はホドホドにしておきたいと思います。

2020.07.05.撮影
2020.07.06.記述


0 件のコメント:

コメントを投稿

平均棍

カやハエなどの「双翅目(ハエ目)」の昆虫には、前翅の付け根に退化した後翅が見えます。多くは先の丸まった棍棒のような形をしており、「平均棍」と呼ばれます。わかりにくい日本語ですが、英語では balancer というので、こちらの方が機能的に理解しやすいです。飛翔時には、前翅の羽ばた...