家の玄関ホールに、ゴミとほこりにまみれたクワガタムシがころがっていました。ちょっと変わった大顎を持っています。調べてみると、どうやらノコギリクワガタのようです。ノコギリクワガタといえば大きな顎が人気ですが、これはいかにも小さい。
実は甲虫の角や顎などの「武器」は、幼虫時代の栄養が不足していると小さくなる現象が知られていて、このクワガタはその例のようです。そう言えば、カブトムシの小さいものは、おまけの様な角を付けていることがありますね。あれです。
しかし、このノコギリクワガタの場合は角の形がそれこそ「ノコギリ」か「ノコギリ鎌」のようで、まるで別種に見えます。
この現象は、環境によって遺伝子の働きを調整する「エピゲノム」という現象だそうです。異なる形態の成虫を作り出すことで、「栄養が良く、体が大きいと闘争に勝てるよう武器を巨大化させ、逆に栄養が悪くて大きくなれないと武器の代わりに羽を発達させ移動能力を高めていると考えられる」ということです。興味深いですね。
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これが今回捕らえた個体です。大顎の形がおよそノコギリクワガタとは思えません。それと、足が妙に細長いのが特徴です。足に抱えている白いものは20世紀梨で、元気付けのために与えたところ、放そうとしませんでした。
同じ遺伝子を持っていても、環境によって発現の様相が異なるのは、たとえば、今年アフリカやインドで猛威を振るっているサバクトビバッタ(中国ではトノサマバッタとのこと)などにも言えることでしょうね。いろいろと面白い現象があるものです。
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