普通に生えていて美しい花はまだまだあります。ここではイタドリを取り上げます。
イタドリは日本の山野に普通に生えている植物で、雌雄異株。古来から野草として生食、和え物、塩漬けにして保存食として食べられたほか、薬草として知られ、若葉を揉んで傷口に付けると止血と痛み止めの薬効があり「痛みを取る」ことからイタドリ(疼取)と名付けられたというのが通説です。また、乾燥した根は「虎杖根」と呼ばれ、通経・利尿・緩下剤として利用し、染色のためにも用いられました。戦時中は大きな葉を乾燥してタバコに混ぜたり代用タバコとして吸引したりすることもなされたようです。ずいぶんいがらっぽかったと聞いていますが。
この花がなかなか美しいのです。すでに万葉集にも「いちし」という名前で歌い込まれているようですが、
道の辺の いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋い妻は (柿本人麿 万葉集 11-2480)
この「いちし」は、野辺に生え、花が白く際立つ植物のようですが、これが果たしてイタドリなのかどうかは議論のあるところのようです。「彼岸花」とする説もあるようですが、彼岸花ならば白花か、とするのはちょっと厳しい。「いちしろく」を「はっきりとして目立つ」と解釈すると「彼岸花」説は成り立ちます。
いずれにしても、イタドリにとってはあまり重要なことではありませんね。
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イタドリの花が美しく咲く季節になりました。これは雄花。8本の押しベが萼を越えて伸びます。この花は葯が開くと赤い花粉が覗き、とても美しいです。
これは雄花です。
では、これは?
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