またまたsmall beautyの紹介です。今回はアキニレの花。「アキニレという名前は秋に花が咲くことから付けられた」ということは聞いていましたが、花期が短いのと、およそ花の季節らしくない時期に咲くので、毎年見過ごしていました。そこで今年はぜひ確認したいと、9月に入ってから「まだかまだか...」と見守っていたところ、ようやく家の傍のアキニレに花が咲き始めました。
アキニレはとても丈夫で多産な樹木です。秋の終わりから春先にかけて、一木で数十万あるいは数百万とも思える翼の付いた果実を少しずつ風に飛ばして飛散させます。落ちた種は庭の隅や植え込みの中で発芽し、発芽して葉を認める頃になると、丈夫な根がしっかりと土中に張っていて、なかなか根絶やしにできない困りものです。果実には翼の中心にごく小さな種があり、冬期の野鳥たちにとってはまたとない食料となります。この付近ではカワラヒワが、特に降雪があって地上の餌が取れないときなど、群れをなして訪れます。果実が長く枝にとどまるので、春先までの食料庫となるのも野鳥たちにはありがたいことです。
その丈夫さ故に街路樹や公園樹として植えられることが多く、老成した木の肌が鱗のようで「石欅(いしげやき)」と呼ばれたり、小ぶりで肉厚の葉が盆栽に仕立てたときに見栄えが良く「楡欅(にれけやき)」と呼ばれたりもします。人の生活に大変身近な樹木です。
木によって花の形が微妙に異なりますが、基本的に雌性先熟で、雌しべが先に顔を出し、その後で雄しべが成熟します。
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