2020年10月14日水曜日

脳を操る微生物

カマキリやカマドウマに寄生するハリガネムシが宿主を操って水際に連れて行き、宿主の体内から出て行くことはよく知られていますし、最近では人間の体内の腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれる細菌群(重量にして1~2キログラムもあるそうです)が、人の健康ばかりでなく、気質も左右するという研究が発表されています。子供から一般向けの書籍としては、大谷智通『えげつないいきもの図鑑 恐ろしくもおもしろい寄生生物60』ナツメ社、成田聡子『したたかな寄生 脳と体を乗っ取る恐ろしくも美しい生き様』 (幻冬舎新書)、キャスリン・マコーリフ 『したたかな寄生 脳と体を乗っ取る恐ろしくも美しい生き様心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで 』 (インターシフト)などが出版されています。腸内フローラはNHKの『人体』特集でも大きく取り上げられました。『あなたの体は9割が細菌』というセンセーショナルなタイトルの書籍も出版されており、ある程度の知識を入れておくことは必要なようですね。

それと、人として生きていく際には、外部からの洗脳ばかりでなく、内部からのコントロールがあるということも、覚えておいて良いでしょう。

ちなみにハリガネムシとカマドウマとの関係は日経ナショナルジオグラフィックからオンラインで読むことができます。

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先般の河川敷散策の落ち穂拾いです。マダラバッタが草を抱いて死んでいます。これはエントモファガ・グリリという昆虫病原菌に冒されたバッタで、この菌はバッタに寄生して増殖し、中枢神経を操って、宿主が死ぬ際には草(特に単子葉植物)の先端に登らせてそこで死ぬようにするということで知られています。これは菌の胞子をできるだけ遠くに飛ばすためだと考えられています。この菌による病気は時に爆発的に広がり、以前中国で発生したバッタの異常繁殖(中国ではトノサマバッタ、アフリカではサバクトビバッタなどがこの現象を起こすことで知られています)がこの菌の流行で収まったことがあると、文献で読んだことがあります。ちなみに、アフリカのサバクトビバッタに取材した。前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)は痛快な本です...脱線ですが。


こちらは8月に亀岡で撮影した写真。雌のショウリョウバッタの姿です。

操っても操られたくはないですねェ...

2020.10.06.撮影
2020.10.13.記述



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