2020年11月5日木曜日

リニューアルなった琵琶湖博物館

リニューアルなった琵琶湖博物館の様子です。訪問したのは学芸員の方に相談があったので、グランドオープンに引かれて行ったわけではありません。前回来たときと比べると、A展示室とB展示室が新しくなっていましたが、以前と比べて基本的に展示の模様は大きく変わってはいませんでした。

私としては琵琶湖の漁法などに関心があって、その部分の展示の充実を期待したのですが、以前伝統漁法を1つ1つビデオで紹介されていたものが簡略化され、新たに撮影された映像はデジタル画像できれいになりましたが、ちょっと残念でした。本来泥と草にまみれる漁具が、きれいなショーケースに入れられて照明され、こぎれいに展示されているのも何か違和感を感じます。生活用具が民芸品になってしまったようです。道具をそれが生きる場所(それがまだあるうちに)で、それで生業を立てている人々(それらの人々がまだいるうちに)見たいと思いました。

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希少種に関する企画展が開催中でした。


パネルの中でもっとも印象に残ったもの。「ハエは地球の蔭の立役者」というパネルで、ハエ科昆虫がポリネーターとして、また、湖などの水質浄化に役立っているという指摘です。文献などを紹介してもらって、詳細を知りたいと思いました。ハエがいないとチョコレートが食べられなくなるかもしれない、という指摘はアピールするでしょうね。

A展示室では琵琶湖の生い立ちと自然を紹介しています。

これは260万年前の、おそらくメタセコイアの仲間の切り株化石です。以前訪問した湖南市の野洲川河川敷のあちこちに破片が見られました。現地ではゾウや鹿の足跡化石を見ることができました。

その足跡化石の展示もありました。

これは琵琶湖で見られる魚の大きさ比較展示。ビワコオオナマズはさすがに大きい。

B展示室では滋賀県の自然と文化の関わりを紹介しています。
興味深かったのはこれ。当時の森の境界を定める文書です。森は薪炭の産出場所であり、材木の切り出し、山菜の収穫、狩猟の場としてもとても大切な場所だったのでしょう。この図を見ると、山の奥深くまで利用され、境界についてしばしば争いがあったことがわかります。

また、この文書からは、江戸時代の終わり頃には山林の過度な利用が進み、山がほとんどはげ山状態になったことが記されています。今日では山に人が入らず、放置されて荒れ放題になっていることを考えれば、まさに隔世の感があります。一方で、人々の努力もあったのでしょうが、この山から現在の緑の山に復活できたという、自然の持つ回復力のたくましさも感じます。

これが漁具の展示。民芸品扱いです。仕方ないことでしょうが。

下の漁具はちょっと懐かしい。昔住んでいた家の前の用水路で、増水の後「ドジョウすくい」のおじさんがこれに似た漁具を持ってドジョウを捕りに来ていました。かれこれ60年ほどの前の話になりますが...(^^;

これは丸子船で運ばれたカラムシと紅花。

これが琵琶湖の水運を担った船の一つ、丸子船です。

あれこれと文句を書きましたが、施設といい、抱えている研究員の数といい、自然史博物館のない京都に住むものとしては、実にうらやましい限りです。

2020.10.31.撮影
2020.11.04.記述







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