この虫を見ると夏を感じます。ルリハダホソクロバです。マダラガの仲間で、ホタルガの近縁です。小さな蛾ですが、大変美しいるり色の翅が特徴的です。この季節からしばらく、河川敷の歩道脇の桑の葉などに止まっています。蛾の多くが、草の葉や茎の裏側に隠れて止まるのに対して、この蛾は葉表に止まるので、観察しやすいのがありがたいです。
この個体は触角の特徴から雌と判断します。オスの蛾は一般に櫛形の大きな触角を持ち、雌の発するフェロモンを、場合によっては1キロ先からかぎつけるということです。この、フェロモン、性誘引物質の研究ではドイツのA. ブーテナントがノーベル賞を受賞して有名ですが、私にとっては、小さい頃に読んだ『ファーブル昆虫記』の中の「オオクジャクガの夕べ」(『昆虫記』第7巻)が印象的です。ただし、原作翻訳で読んだのではなく、翻案でしたので、おそらくは、講談社の『少年少女世界文学全集』に抄録されたものだったのでしょう。挿絵とともに内容を覚えています。それを実際に見たいと思い、蚕の幼虫を手に入れて繭を作らせ、羽化させてみましたが、残念なことに、羽化した個体はメスばかりでしたので、オスの行動については観察できずじまいでした。
生まれたメスは、間もなく交尾もせずにひたすら卵を産みました。いつまでたっても孵化しない卵が哀れでした。
*****
2021-07-03 撮影
0 件のコメント:
コメントを投稿