みずの森では懐かしい植物に出会えました。綿の花です。郷里の祖父母の蔵には、綿を繰らない状態の綿花が網に入れて天井から吊してありました。「綿を繰る」というのは、綿の実から綿の繊維を外すことです。綿の繊維は、小豆ほどの大きさの、固い種皮を持つ綿の種子から生えていて、これを外す(むしり取る)には、手作業ではとうてい不可能でした。当時の農家では初期の洗濯機のローラーを小さくしたような、木製のローラーを用いていました。これを「綿繰り」と呼びます。調べてみると「綿繰り機」は今でも製造されて販売されています。天井から吊してあったのは、ネズミの食害を防ぐためでした。
小学校の5,6年生の頃でしたでしょうか、これを見つけて興味を持ち、祖母に「綿の種を蒔いてみたい」と提案し、翌年の春に播種しました。採種されてからかかなり長い年月が経過していたにもかかわらず、20粒ほど蒔いたうちの1/3ほどが芽を出し、その秋にはそこそこの量の綿花が収穫できました。それから約20年あまり後、郷里を離れ、結婚して子供ができ、近くの家庭菜園を借りて野菜を作っていた時に、思い出して種子を求め綿を栽培し、子供の学校や職場の同僚たちに配って、珍しがられ、教材にもしてもらいました。
綿はアオイ科ワタ属に属し、昨日ホシホウジャクが吸蜜していたと紹介したフヨウ、ハイビスカス、ムクゲ,オクラなどときわめて近い種です。共通した特徴は、5枚の萼片と5枚の大きな薄い花びら、そして花の中心に雌しべが突き出して、その雌しべに多数の雄しべが筒状に合着していることです。一見、雌しべの花柱から雄しべが多数生えているように見えます。
Photos 2022-09-22
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