2020年9月21日月曜日

アオバハゴロモ

ハゴロモの名前を持つ昆虫がいます。いずれもヨコバイの仲間で、カメムシ目に属します。カメムシの仲間は昆虫の世界ではかなり大きな目で、アメンボから蝉まで実に多様です。

写真の昆虫はアオバハゴロモ。学名をGeisha distinctissimaと言い、「芸者」の名前が入っているという、大変珍しい学名を持っています。命名者はWalkerという人物で、1858年。調べてみると、Francis Walker (1809 – 1874) というイギリスの昆虫学者がそれに当たる人物ようです。

学名のdistinctissimaは最上級を含むのでおそらく「もっとも傑出した、際だった」という意味でしょうね。この人物、幕末の日本にやってきて、遊郭で芸者に惚れ込み、その思いを込めて命名したのでは...と思いましたが、どうやら日本には来たことがなかったようです。幕末の日本から送られた標本を見て感激し、命名したのかもしれません(←これも完全な妄想ですが)。小さな虫ながら、羽根が淡緑色で、ピンクの縁取りがある清楚な配色で、なかなか魅力があることは事実です。

ハゴロモの仲間は、アオバハゴロモ、スケバハゴロモ、ベッコウハゴロモ、アミガサハゴロモ、オオシラホシハゴロモなどがおり、アオバハゴロモ以外は羽を広げた状態で止まります。いずれも羽根の模様が美しい昆虫で、ヨコバイらしく危険を感じるとパチッと音を立ててバネ仕掛けのように跳躍して飛び立ちます。幼虫時代は蝋物質をまとっていることが多く、その姿と成虫の姿の対比が興味深い昆虫でもあります。スケバハゴロモについては以前貴船での観察を書いたことがあります。

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林縁の梢から蜘蛛の糸でぶら下がっている枯れ葉に止まっていました。

くるくると回る枯れ葉の周りを、遊ぶように、自身も回っています。

かつては多数見かけることもあったのですが、近年はしばらく見ていませんでした。ちょっと懐かしい昆虫です。蝉の近縁ですので、顔がとてもよく似ています。

足下の側溝には白花のゲンノショウコの花が咲いていました。

2020.09.19.撮影
2020.09.20.記述



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