2019年10月22日火曜日

観察記録:アカタテハと寄生バエ:生存をかけて

In the mornings the temperature drops to 15 degrees Centigrade or lower. Most insects are gradually dying out, but for some, this is the precious opportunity to pass the baton of life to the next year. As it gets cooler, parasitic insects and predators either die away or move slower so that larvae of butterflies and moths get better chances of survival. Indeed, we have seen the majority of larvae are killed by parasites or predators in the natural condition in summer. Under the cooler weather, survival rate is much higher. Although they grow slowly, some caterpillars even survive through Christmas. For the parasitic flies, on the other hand, this is the last opportunity to leave their eggs on the caterpillars for the survival of their own species. Today on the riverbank, I witnessed the confrontation between the larva of AkatatehaVanessa indica, or the Indian red admiral, and one parasitic fly, Thelaira nigripes, most probably, Ashinagaharibae.

堤防道路の散策中にカラムシの茂みを見つけました。ところどころ葉が裏返っています。これはアカタテハの幼虫が巣を作っている証拠。アカタテハは、キタテハ(カナムグラなど)やヒメアカタテハ(ヨモギなど)などと同様に、幼虫時代は余り活発に歩き回らず、食草で巣を作ってその中に潜み、その周辺の葉を食べ、時々巣を移動するという生活を送ります。

今日観察すると、やはりアカタテハの幼虫が潜んでいました。ところが、その巣の上に、何と寄生バエ(おそらくアシナガハリバエ)が陣取り、巣に入るチャンスを狙っています。今年は20匹余りのツマグロヒョウモンを育てましたが、この寄生バエにやられるものが多く、羽化したものは4分の1程度でした。アカタテハは冬を成虫で過ごしますので、この幼虫は年を越えて生き残る最後の世代です。一方で寄生バエも、うまくこの虫の体表に産卵できれば、冬を迎えて生きる世代を残すことができます。

生存をかけた駆け引きを見ました。

*****

丸めたカラムシの葉の上にハエが止まっています。近づいても逃げようとしません。イエバエに似ていますが、触角の大きさや体系が少し違います。寄生バエです。

巣の中をうかがっています。巣は1枚の葉を糸で綴り合わせたもので、糸の目はそれほど細かくはありません。ハエが覗いています。

糸の目が細かくないので、葉をぴっちりと貝のように閉じる個体もいます。これはかなり緩い方です。ハエが糸に足をかけています。

 隙間から覗いてみると、アカタテハの幼虫がいます。茎を手で持って撮影しているのですが、ハエは逃げようとしません。 生存をかけた駆け引きが続きます。

同じカラムシの葉を食べるフクラスズメの大きな幼虫がいました。危険を感じるとこのように反っくり返り、上半身を左右にブンブンと振ります。

この派手な色と、気合いには負けます。よく見かけるのですが、どうもこの幼虫だけは飼育する気持になれません。

朝夕ずいぶん涼しくなりましたが、寄生バエや、肉食の蜂の類が少なくなるこの時期は、冬を越えて命をつなぐ虫たちの今年の最後の世代が、比較的安全に育つことのできる時期でもあります。日々の変化を見守りたいと思います。

2019.10.21.撮影
2109.10.21.記述







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