2019年11月5日火曜日

観察記録:小さな庭で:ブドウトリバ

昆虫が少なくなるこの季節にも、枯れ草の間を元気に飛び回る蛾の一種にトリバガの仲間がいます。体長1センチ前後の小さな蛾です。飛翔しているときは単なる蛾に見えるのですが、止まると、左右の羽が一直線になり、それと胴体で「T」の字型を作ります。停止している姿は、枯れ草の中ではなかなか見つかりにくい擬態で、その巧みさに感心します。

庭の草取りをしていて、トリバガの仲間が、遅咲きのフジバカマに吸蜜しているのに気づきました。いつも河原で見ている種はきれいなT字型になるのですが、この種は、関節からトゲに似た突起を生やしています。とりあえず写真を撮って調べると、ブドウトリバらしいことが分かりました。何のためにこのような形をしているのか、想像もできませんが、何かの意味があるのでしょうね。不思議です。

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一見、蚊のように見えますが、飛翔する際の羽ばたきは細かく、速度はゆっくりで、蛾らしい飛び方をします。フジバカマの花に止まっています。後脚の突起が目を引きました。

横から見たところです。後翅は細くて飛翔の役に立っているように見えませんが、どうでしょう。それにしても刺の生えた脚は枯れた竹の節のようです。

頭部にできるだけ接近しました。左横からの撮影です。写真の右が背中、左が腹側。目の複眼が光を受けて五角形の星のようなパターンを見せています。左上に薄いオレンジ色の筋が伸びるのは口吻で、蜜を求めています。

柑橘類の葉の表面に止まったところ。全身像です。他のトリガに比べると羽が若干V字型になっているような気がします。

いやいや、不思議な昆虫がいるものです。この形で生き残っているということは、この形にも、生存のための何らか工夫が込められているのでしょうね。

2019.11.03.撮影
2019.11.03.記述




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